幻の2代目か“兄弟”かそれとも…「ポン太」後釜争い勃発?

2019/11/20 15:00

四半世紀ぶりに日の当たる場所に登場した2代目明石ポン太=明石市立少年自然の家

 JR明石駅(兵庫県明石市)のコンコースにあった信楽焼のタヌキ「明石ポン太」が壊され、間もなく2カ月。神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」には「ポン太復活の見込みを知りたい」との声が寄せられている。取材を続けると、二つの有力候補が浮かび上がった。(長沢伸一) 関連ニュース 西脇工エース新妻遼己、都大路を心待ち 花の1区で「1番手」狙う 全国高校駅男子22日号砲 環境に優しいヘアリーベッチを稲作に 田にすき込むと天然肥料、温暖化防止にも一役 東播磨 返礼品に1200万円のドームテント、高額所得者にPR 加東市ふるさと納税 山国地区産山田錦の日本酒も

 ポン太がいた場所の壁には先月、「いないとさびしいよね」とのメッセージが掲示されていた。また、本紙には「クラウドファンディングで4代目の資金を募ったら」との提案まで寄せられた。
 よい案はないか。取材を進めると、有力候補の存在が明らかになった。
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 よく駅で見かけた顔がそこにはあった。同市大久保町江井島にある市立少年自然の家。入ってすぐの芝生広場に1匹のタヌキがたたずんでいる。
 1981年に登場した初代が泥酔者に粉々にされ、明石セントラルライオンズクラブが駅に寄贈した2代目ポン太だ。
 95年の阪神・淡路大震災で台座が壊れ、駅から避難。だが、体そのものに損傷はなく、元気そのものに見える。実はこの2代目、利用者が入れない裏庭にほぼ四半世紀の間、ぽつんと置かれていたという。
 芝生広場に登場したのは11月。9月末に3代目が壊され、駅から姿を消したのに合わせ、2代目の存在をアピールしようと、移動させた。
 ただ、2代目ポン太の存在を知っている人は少ないようだ。神戸市垂水区の男性会社員(44)は明石駅でポン太を待ち合わせに使っていた。「信楽焼のタヌキはどこにでもある。これが2代目と言われても…」と苦笑い。周知するため、施設側は早速「2代目明石ポン太」の名札を取り付けた。
 「明石駅に戻って、と依頼があればどうしますか?」。副所長の関口泰生さん(55)に尋ねると、「元いた場所で本来の仕事をしてもらうのはうれしいこと。こちらとしてはやぶさかではありません」。
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 もう一つの候補は、明石市役所本館2階にひっそりと置かれていた。
 1~3代目同様、明石セントラルライオンズクラブが業者に発注し、市に寄贈したものだ。壊された3代目と同じ時期に製造され、姿も同じ。いわば3代目の“兄弟”で、虎視眈々(たんたん)とその座を狙う。
 市役所によると、寄贈目的や時期は不明。市役所職員にもあまり知られておらず、市の担当者は「JRやクラブから移設の要望があれば検討したい」という。
 2代目の再登板か、市役所からの移設か。そもそも明石ポン太は復活するのか-。「明石駅の利用者のみんなが僕を待ってくれているかどうか」。有力候補のタヌキを見ていると、そんな声が聞こえた気がした。
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