東大に現役合格 コロナ禍「学校のありがたみを実感」

2021/03/16 20:30

東京大学本郷キャンパスに立つ国の重要文化財「赤門」=東京都文京区

 神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に、まだ肌寒い兵庫県北部の女性(55)から一足早く春の便りが届いた。「娘が東大に現役合格しました」。新型コロナウイルス禍で学校の授業もままならない中、どのように受験勉強を進めたのか。合格を果たした本人(18)に、この1年間の気の持ち方などを聞いた。 関連ニュース JR西、明石の新幹線車両基地の整備を断念「コロナ禍前の利用水準に戻らず」 市に伝達 コロナ禍に子猫をお迎え 警戒心が強く抱っこが苦手→ゴロゴロとリラックスする姿に家族みんなが癒される お食事処、福助グループの本店復活 コロナ禍閉店から4年ぶり 十割そばを軸にランチに力点

 生徒は地域の私立中高に通学。小学生のころに「東京ディズニーランドでアルバイトしてみたい」と思ったことがきっかけで、関東の大学進学を漠然と考えるようになった。英語が得意なこと、社会問題に幅広く興味があることから国際関係の仕事を目指し、文科三類を志望した。
 昨年3月。コロナで休校になった。学校の対応は素早く、紙の課題が配布され、オンラインでの授業再開もスムーズだった。だが、自宅学習で「どうしても気持ちがのんびりしてしまった」面はあるという。
 そこで友人2人と申し合わせ、LINE(ライン)で「お茶会」を開いた。自宅でジュースを飲みながら「お互い大変だね、でも頑張らないとね」と励まし合った。「あの子も頑張ってるんだと、やる気が起きました」。
 学校は6月から少しずつ再開。「登校できる喜び」を強く感じた。「コロナ前は臨時休校がうれしかったけど、学校があって先生や友人がいることはすごくありがたいことだと分かった。授業を受けたり、休み時間に友達と話したりすることがとても楽しかった」。
 一方、所属する放送部では、引退前の花道となるはずだった全国大会(6月)は中止に。めげずに「今だからこそできることを」とリモートで番組を制作し、別の大会に出品した。「自分なりにけりをつけました」。気持ちを整理し、机に向かった。
 模試の判定はずっと順調。それでも不安はあった。塾や予備校には通わず、高校のカリキュラム以外で必要な科目は、教師に個別指導してもらった。
 「先生方にとてもお世話になったので恩返ししたかった。結果が出るまで、すごく緊張しました」。合否は校内でネットで確認。職員室に報告に行くと「やったー!」と歓声が沸き、ほっとしたという。
 東京も緊急事態宣言が解除される見通しになり、予定通り上京する。「しっかり勉強したいし、音楽が好きなのでサークル活動もしたい。椎名林檎さんの歌詞に出てくる聖地巡りが楽しみです」。
 コロナ禍はしばらく続きそうだ。受験の後輩には「みんな学校に行けていなかった時期があるので、学校はかけがえのないものだと実感したと思う。そのありがたみを覚えていたほうがいい。私はそれが励みになりました」とエールを送った。(上杉順子)
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