兵庫県内関係者、必死で安否確認 台湾中部大地震

2099/09/21 15:43

 「家族、親類は無事なのか」。数十年ぶりという二十一日未明の台湾中部大地震(M7.6)で、在日華僑をはじめ現地に家族や親類を持つ兵庫県内の関係者は、なかなか通じない電話にいら立ちながら、必死で安否情報を集めた。また県内外のボランティア組織が阪神大震災のネットワークを生かすなど、支援の動きが始まっている。


 神戸・北野町にある台湾系の神戸華僑総会事務所には在日関係者から現地の情報を求める電話が相次ぎ職員二人が対応に追われた。
 台南市出身、主婦森春蘭さん(32)=神戸市西区=は、早朝、実家に電話をかけたが約一時間後にやっとつながった。大きく揺れたものの幸い無事で、両親は「大丈夫だけどとても恐かった」と話していたという。
 神戸大学経営学部大学院生の呂嘉恵さん(25)は、前期課程を終えてきょう午後、台北に近い桃園の実家に一時帰国の予定だった。「早朝、室内は散乱しているが、家族は無事と電話があった。その後電話が通じない。早く帰りたい」と心配そうだった。
 神戸市中央区北野町二、龍谷大教授陳謙臣さん(62)は、台北市郊外の台北県三重市に住む弟、陳本臣さん(60)の安否を確認した。電話でのやり取りでは「激しい揺れでとび起きた」といい「停電のためラジオで情報を聞いているが、当初震度2と入ってきたのが、そんなはずないと言っているうちに、すぐ震度6に訂正された」と話していた。

 支援の準備着々
 大陸系の神戸華僑総会の林同春会長によると、台湾支援の募金活動を近く本格化する予定で、まずは神戸市中央区下山手通の華僑総会事務所に募金箱を設置。同胞の協力を求めるという。林会長は「私たちは阪神大震災で世界から支援を受けた。今度は私たちが同胞を支援する番」とし、在神戸の華僑と連絡を取り合った。
 また、日本災害救援ボランティアネットワーク(西宮市)では、インターネットなどで情報を収集。「現地からの発信がなく、全体像が分からない。最大限の手助けをしたい」という。
 阪神大震災地元NGO救援連絡会議(神戸市中央区)はトルコ地震の支援のため、近くメンバーを再派遣するが、「被害状況がはっきりすれば、台湾への派遣も検討したい」とした。
 一方、「日本レスキュー協会」(本部・大阪府豊中市)は台湾へ隊員三人と捜索犬三頭を派遣することを決定。隊員は、大山直高さんと、松崎直人さん、正人さんの兄弟。松崎さん兄弟と、救助犬ドイルは、トルコの大地震でも被災地入りし、六日間の活動を続けた。この日夕にも出発する。
 民間の防災専門研究・調査機関「災害救援研究所」(本部・大阪市)は台湾の現地にボランティアセンターを設立するため、NGOなど約三百団体へ呼びかけを始めた。三日後をめどに立ち上げる方針という。

 台湾進出は20社
 台湾に進出している神戸市内の企業も、早朝から現地の安否確認に追われた。神戸商工会議所によると、台湾に現地法人や駐在員事務所を置く会員企業は、銀行やメーカーやアパレルなど約二十社。
 台北市内に製造販売子会社があるバンドー化学は、現地に出向している社員一人は帰国中で無事だったが、社員の家族が現地に残ったまま。なかなか電話がつながらず、「急いで戻る準備をしている」という。
 通信機器メーカーのTOAは、台北市内の合弁会社で約百人の現地スタッフが働くが、全員無事。建物にも被害はなかったが、停電で生産を中止しており、「被害の広がりによっては操業への影響が出るかもしれない」と、情報の収集に当たった。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ