神戸の「孤独死防止策」発信 公益法人が冊子に

2004/01/14 11:00

 自宅で誰にもみとられずに亡くなる独居死者が急増する中、厚生労働省所管の公益法人が、阪神・淡路大震災を教訓に対策を進めてきた神戸市など各地での官民の連携など活動事例を紹介する「高齢者の孤独死防止ハンドブック」の作製に乗り出した。被災地での地域見守りのネットワークづくりのノウハウを全国に広げるのが狙い。三月までに計二万五千部をつくり、自治体や社会福祉協議会に配る。(石崎勝伸) 関連ニュース 熊本地震1年 孤独死防げ、兵庫からも支援 仮設住宅で孤独死続く 東日本大震災、見守り担い手課題 災害公営住宅、高齢化進む 入居者の40%が65歳以上


 背景によっては「孤独死」とも呼ばれる独居死の存在は、全国的に指摘されてきたが、防止策は各地域で手探りの状態。ハンドブックは、厚生労働問題研究会(東京)が厚労省の補助で作製。室崎益輝・神戸大都市安全研究センター教授や神戸市の担当職員ら計四人が取材、執筆を担当する。
 神戸市の事例では、独居高齢者らを訪問する見守り推進員らの取り組みや、地域ごとに官民のネットワークづくりを進める現状を報告。シルバーハウジングで活動する生活援助員が、脱水症状を起こした高齢者を自治会などとの連携で見つけ、病院に運んだ例も挙げている。
 独居高齢者が増える兵庫県朝来郡和田山町では、郵便局や新聞販売店に協力を依頼し、高齢者宅に二日以上郵便物などがたまった場合、在宅介護支援センターに連絡するシステムを紹介。千葉県松戸市の常盤平団地からは、かぎ業者と覚書を結び、非常時には玄関ドアを開けてもらう取り組みを挙げる。福岡県北九州市では、小学生による高齢者訪問の事例も。
 同研究会は「地域にショッキングな現実があることを伝え、どうすれば高齢者の孤立を防げるのか、全国各地で考えてもらうきっかけになれば」としている。

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