住宅初の強制移転 震災13年、淡路の復興区画整理
2007/10/22 16:36
レールで手前側から奥に向かって移転される建物=淡路市富島
阪神・淡路大震災で被災した兵庫県淡路市富島の震災復興土地区画整理事業で、事業主体の市は二十二日までに、移転交渉が決裂した地権者の女性(67)宅など六棟を強制的に動かす工事を始めた。土地区画整理法に基づく「直接施行」で、住居への実施は兵庫県内十八地区の震災関連区画整理で初。
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六棟は女性の自宅や経営する会社事務所など。拡幅される県道用地にかかる。国の主な補助金が得られる期限が本年度末に迫る中、女性は「震災で娘が亡くなった場所がほかの地権者に渡るのは、納得できない」と主張し、交渉は難航していた。女性は八月下旬までに自主退去した。
移転は建物本体を壊さずに金属のレール上を動かす曳家工法(ひきいえこうほう)。六棟中四棟(計七百五十平方メートル)の基礎部分を掘り下げてレールを敷き、油圧ジャッキで最大二十五メートル移動させる。事業費は一億八千万円の見込み。
この日は、女性宅を県道南側に接する仮換地先へ約十三メートル移動。全六棟の移設完了は来年二月末となる。
市は「任意の移転交渉に向け、協議の場がうまく持てなかった」と話している。(小林伸哉)