残り15棟は民間事業に 新長田駅南再開発ビル

2008/01/15 13:55

 神戸市は十五日までに、阪神・淡路大震災の復興市街地再開発事業を進める新長田駅南地区で、未着工の再開発ビル十五棟の直接建設を断念し、民間企業に委ねる方針を決めた。同地区では、建設後に売却できない商業床が続出し、多額の負債を抱えている。今後は敷地を企業に売却し、ビル自体を自由に設計できるようにする。しかし、民間が建設するビルは計画の三分の一にあたり、全国最大級の事業が計画通り進むかは不透明だ。 関連ニュース 企業の農業参入を支援 神戸で成功法学ぶセミナー 乳牛ふん尿をエネルギーに 神戸の牧場に装置完成 NIROが中長期活動指針 5分野を強化へ


 市によると、同地区で事業計画が決まったビル四十三棟のうち、完成済みや工事中は二十八棟。しかし、地価の大幅な下落で分譲マンションなどが土地買収時よりも安い価格になった上、商業床は面積の約7%しか売れていない。現時点で赤字九十二億円を含む三百十三億円の負債が残り、厳しい事業収支となっている。
 このままではさらに負債が膨らむことが予測され、市は直接建設を断念。残る十五棟で、都市再開発法の「特定建築者制度」の導入を決めた。
 同制度は入札やコンペ方式で選んだ企業に敷地を売却し、ビルの大きさや用途など一定の枠内で設計、建設を担う。同地区ではすでにホテル建設などで活用されている。土地所有者らの権利分については、従来通り市が買い取り、建設されるビル内で確保する。
 市が直接建設するのは、昨年十二月に着工し、二〇〇九年度に完成予定の十三階建て店舗付きマンションで最後になる。すでに二十九棟目のビルで、民間企業を公募。店舗付きマンション建設に、複数の企業が応募しているという。
 市都市計画総局は「住宅の共用部分などには補助を検討する。民間のノウハウを生かし、地域活性化につなげたい」とする。(石崎勝伸)

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