神戸・長田スチールパン楽団 3月、宮城で初の演奏会
2013/01/12 15:00
宮城県での演奏に向け、練習を重ねる「ファンタスティックス」のメンバーら=神戸市長田区西尻池町3
阪神・淡路大震災をきっかけに、神戸市長田区で生まれたスチールパン楽団「ファンタスティックス」が3月、初めて東日本大震災の被災地で演奏する。中南米のトリニダード・トバゴ発祥の打楽器が放つ柔らかな音色は、新潟県中越地震の被災地でも人気を呼んだ。震災から2年を迎える宮城県を訪れ、仮設住宅のお年寄りや商店主らに元気を届ける。(上田勇紀)
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楽団は2001年4月、阪神・淡路大震災から復興途上だった商店街に元気をつけようと、長田の商店主らが練習を重ねたのが始まり。ドラム缶を加工して音階ができた鉄製の楽器を、先端にゴムがついた2本のバチでたたく。エネルギッシュで、癒やしにもつながる独特の音色が魅力だ。
メンバーは神戸や姫路、京都などに住む20~70代の男女30人。週に1回、仕事を終えた夜に集まり、2時間の練習を続ける。発足から約12年がたち、今では年に20回程度、関西各地で演奏活動に励んでいる。
東日本大震災後は、東北への思いを胸に募金活動を行ってきた。訪問はひょうごボランタリープラザがバスを出し、兵庫県芸術文化協会などの助成を受けて実現。3月23~24日、宮城県名取市と登米(とめ)市の仮設住宅集会所、気仙沼市の仮設スーパの計3カ所で演奏する。神戸で歌い継がれる「しあわせ運べるように」など約10曲を披露し、その場で体験会も開く。
「震災から2年後はまだ混沌(こんとん)として、どうしたらいいか迷うばかりだった」。18年前、震災で長田区の自宅兼店舗が全壊した金物店主、山本豈夫(やすお)代表(74)は振り返る。「焦らず、目の前のことに取り組むしかない。音楽を通じて『前を向いて』と伝えたい」と話す。
06年には新潟県小千谷市で演奏し、今でも交流が続く。メンバーは「東北の人たちにも笑顔になってもらえるように、いい演奏をしたい」と声をそろえる。