あの日を忘れず、今を生きる 兵庫県内各地で追悼

2013/01/17 12:38

【神戸市須磨区の千歳公園】今も消えない悔しさ 関連ニュース 企業の農業参入を支援 神戸で成功法学ぶセミナー 乳牛ふん尿をエネルギーに 神戸の牧場に装置完成 NIROが中長期活動指針 5分野を強化へ

 約9割の家屋が倒壊、焼失し、47人が犠牲になった神戸市須磨区の千歳地区。旧千歳小学校跡に8年前にできた千歳公園で、住民ら約50人が犠牲者を悼んだ。
 大滝裕晋さん(48)は、妹須美恵さん=当時(28)=を亡くした。大滝さんと両親は2階で寝ていて助かったが、須美恵さんだけが1階にいて命を落とした。「どこにいるのか分からず、助けてくれる人もいなかった」。悔しさは今も消えない。
 「ちとせ 1・17」の文字に並べたろうそくの前で手を合わせ、「明るくて友達も多かった妹の姿の分まで大切に生きようと誓いました」と力を込めた。
(宮本万里子)

【淡路市・北淡震災記念公園】この子にも伝えたい
 淡路市小倉の北淡震災記念公園では、淡路島内の犠牲者と同じ63本の竹灯籠をともし、午前5時46分に約150人が黙とうした。
 仲がよかった当時小学5年生の同級生と、祖母の永田里海さん=当時(57)=を亡くした看護師松浦理恵さん(29)=同市久留麻=は2歳の長男と参加した。松浦さんは「当時の恐怖心は鮮明に覚えているし、大切な人を失ったつらさは埋めることができない。18年たって街はきれいになり、震災を知らない世代がたくさん生まれているけれど、忘れてはいけない。この子にも震災の怖さを伝えたい」と話した。
(大月美佳)

【西宮震災記念碑公園】孫の成長を報告
 西宮市奥畑の西宮震災記念碑公園には早朝から次々と遺族らが訪れた。犠牲者の名前が刻まれた記念碑の前に献花し、午前5時46分、集まった約300人が黙とうした。
 一緒に暮らしていた母親=当時(71)=と姉=同(51)=を亡くした同市津門呉羽町、中西則光さん(63)は「2時間後に救出された母の体が冷たかった感触を今でも思い出す。地震という言葉を聞くだけで涙が出てくる」と語り、「孫が小学1年生になったよ」と記念碑に報告していた。
(金山成美)

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ