キャンパスに鎮魂の歌声響く 神戸大で追悼式典

2013/01/17 22:18

慰霊碑に献花する遺族ら=神戸大六甲台キャンパス

 天国に届け魂の歌声-。神戸大の六甲台キャンパス(神戸市灘区)と、深江キャンパス(同市東灘区)で17日、阪神・淡路大震災で亡くなった学生らの追悼式典があった。六甲台では、当時4年の弟を失った歌手の森祐理さんも参列。初めて慰霊碑の前で、震災復興を願う「しあわせ運べるように」を歌い、犠牲者を悼んだ。 関連ニュース 神戸市の人口減にどう対応 産官学金でパネル討議 重度障害の男性がボランティア喫茶 神戸・灘 ウマは人の心を理解していた 神戸大グループ確認


 震災では神戸大の学生39人と職員2人、神戸商船大(現・神戸大海事科学部)の学生5人と研究員1人が亡くなった。
 六甲台キャンパスでは遺族、学校関係者ら約200人が参列し、午後0時半に黙とう。献花に続き、森さんが鎮魂の歌声を響かせた。
 森さんの弟渉さん=当時(22)=は、法学部4年で新聞社に就職が内定していたが、下宿で建物の下敷きになり命を落とした。森さんは「弟が大好きだった大学で歌えることに感謝したい。今日は歌手としてではなく、一人の遺族として来た。天国で生きる弟のために魂を込めて歌ったが、すぐそばで聞いている気がする」と面影をしのんだ。
 工学部3年だった長男伸弘さん=当時(22)=を亡くした静岡県の鈴木綾子さん(65)は、「18年が過ぎても息子への思いは強く、つらさも増していく。これからもできるだけ長く神戸に来て、息子が学んだ大学を訪ねたい」と話していた。(津谷治英)

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