復興へ決意新た 東日本大震災被災者、兵庫で追悼

2013/01/17 23:41

「3・11」の竹灯籠を囲み、東北の方角に向かって黙とうする市民ら=17日午後2時46分、神戸市中央区加納町6、東遊園地(撮影・岡本好太郎)

 兵庫県各地の追悼行事に、今年も東日本大震災の被災者が駆け付け、参列した。阪神・淡路の被災地では、どう震災を乗り越え、教訓を語り継いできたのか。共に悼みながら、東北の故郷へと思いをはせた。 関連ニュース くまモンが福島・小峰城へ 「復興一緒に頑張るモン」 復興応援キャラにのんさん 国事業へ参加呼び掛け 南三陸町の支援、今年も 加古川の「エコ炭銀行」

 神戸市中央区の東遊園地では、東日本の発生時刻の午後2時46分、「3・11」の形に並べた約350本の竹灯籠に岩手、宮城、東京の高校生らが火をともし、参加者とともに東北の方角を向いて黙とうをささげた。
 津波で祖父と家を失った宮城県石巻西高校(東松島市)3年の志野さやかさん(18)は「つらい気持ちはずっと変わらないだろうけど、復興した神戸を歩き、希望が湧いた」。岩手県陸前高田市の及川定子さん(53)も「陸前高田は今、必死に立ち上がろうとしている。神戸の人の力をもらった」と話した。
 西宮市の西宮震災記念碑公園では、原発事故で全町避難となった福島県浪江町、双葉町、富岡町の4人が訪れ、集まった市民とともに犠牲者の冥福を祈った。浪江青年会議所の広坂光広理事長(37)は「震災を忘れないという思いを実感した。復興だけでなく、こうした環境を整えるのも私たちの世代の役目。いつか地元にこんな場をつくりたい」と力を込めた。
 神戸市中央区で講演した宮城県多賀城市の村口至さん(72)は市民団体の世話人として、地元で被災者主体の復興に取り組む。「長田区の商店街を訪れ、地元の人と話す中で、まちづくりや復興住宅などに課題があることが分かった。東日本の被災地も、いずれ同じような悩みを抱えないか心配だ」と話した。
 別の集まりで東日本の体験を語った福島県南相馬市出身の池添麻(あさ)奈(な)さん(30)は、福島第1原発事故の被災地の現状に触れ「忘れられるのは苦しい。知恵を貸してほしい」と求めた。
 神戸市中央区の人と防災未来センターを訪れた岩手県釜石市の旅館「宝来館」のおかみ岩崎昭子さん(56)は「18年前の映像を見て、今の私たちと同じ気持ちだったと分かった。つらい経験を乗り越えたからこそ、兵庫の人たちはおだやかに支えてくれる。私たちも復興を果たし、支える側にまわりたい」と話した。

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