阪神・淡路、東日本…息子失った母2人 変わらぬ愛を絵本に
2014/01/09 18:00
2人の母親が心を込めてつくった絵本(撮影・吉田敦史)
阪神・淡路、東日本という二つの大震災で幼い息子を亡くすなどした母親2人が、それぞれの思いをつづった絵本を一緒に作った。「優しいあかりにつつまれて」。悲しみは消えないが、会えない息子への愛情と、支えてくれた家族への感謝が込められている。(小西博美)
竹沢さおりさん(38)=仙台市=は、東日本大震災で宮城県名取市閖上の実家が津波に見舞われた。祖母と父が犠牲となり、預けていた長男雅人君(当時8カ月)と母は今も見つかっていない。
「息子と会えなくなり、どう生きればいいのか」。悲しみと不安の日々の中、たかいちづさん(52)=西宮市=のブログに出会った。
たかいさんは19年前、西宮市の実家に帰省中、震災で1歳半の双子の長男将君を亡くした。その体験などをブログにつづっていた。
やがて、2人はメールなどで互いの気持ちを打ち明けるように。竹沢さんが関西にある夫の実家に帰省した際は、直接会って交流を深めた。
絵本の制作が持ち上がったのは昨春。将君の妹ゆうさんが二十歳になり、将君にも成人祝いをと、絵本づくりを考えていたたかいさんが誘った。
竹沢さんも、雅人君のことをいつか絵本にして、東日本大震災後に授かった長女(1)に読み聞かせたい、と思っていたといい快諾した。
絵は、たかいさんが東北の被災地支援を通じ知り合った福井県のイラストレーターひらたゆうこさん、ひさこさん姉妹が手がけた。
絵本で、これまでの家族の歩みを振り返りながら「笑顔で生きて行こう」と将君に誓ったたかいさん。竹沢さんは「このかなしいきもちは ずっと、きえないんだ」と打ち明ける一方、「自分の存在に疑問を感じた時に、兄と同じように愛されていると感じてほしい」と娘にメッセージを送っている。
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優しいあかりにつつまれて 「二十歳になったあなたたちへ」「いっしょに」の2部構成。13日発売。B5判、101ページ、1680円。売り上げの一部は東日本大震災の不明者捜索などに充てる。くとうてんTEL078・335・5965。12日午後2~4時、神戸ハーバーランドの大垣書店で販売会とパネル展があり、たかいさんが参加する。絵本の購入は「優しいあかりにつつまれて」
(http://yasashiiakarinitutumarete.web.fc2.com/) から。