「被災者台帳」整備を推進 予算2600万円計上

2014/01/16 09:01

 政府は、災害時に被災者情報を一元管理する「被災者台帳」の整備推進を図るため、2014年度予算案に2600万円を計上した。東日本大震災では、台帳未整備の自治体も多く、罹災(りさい)証明発行などの手続きが遅れた。近い将来、発生が予測される南海トラフなどの巨大地震に備えるためにも、広くシステムを普及させ、支援業務の迅速化や効率化を目指す。(山本哲志) 関連ニュース 熊本地震の被害やメカニズム学ぶ 淡路で講演会 被災の高齢者ら文字で支え20年 神戸の識字教室 鳥取地震、罹災証明書の発行開始 県営住宅入居も


 被災者台帳をめぐっては、援護の漏れ防止や被災者の手続き軽減につながる半面、関係部署の情報共有が必要で、個人情報保護との兼ね合いなどから整備が進んでいなかった。
 総務省によると、12年4月現在で被災者情報を管理する電子システムを整備している自治体は280団体。全国市区町村の16・1%にとどまるという。
 低迷する整備状況に加え、東日本大震災の教訓を踏まえ、国は昨年改正した災害対策基本法で「市町村長は被災者台帳を作成できる」と明文化し、整備促進に向け、予算も計上した。
 阪神・淡路大震災を受け、西宮市が独自に開発し、すでに全国で200団体以上が導入する情報管理ソフト「被災者支援システム」など先進事例の調査のほか、導入を目指す自治体への助言、技術支援などを行うという。
 また、自治体ごとにばらつきのある台帳の掲載項目についても調査。他の自治体からの応援時に円滑な活用ができるよう、一定の共通化も図りたい考えだ。

 【被災者台帳】住民基本台帳による住所、氏名、世帯主、家族構成のほか、家族・家屋被害などの被災情報や収入に関する情報などを登録・共有し、被害や支援の状況を一元的に管理するもの。各自治体ごとに整備が進められており、迅速支援や支援漏れ、手続きの重複防止にもつながる。電子システムを用いた台帳では、西宮市が開発した「被災者支援システム」が有名。京大などによる別方式の「被災者台帳システム」などもある。

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