国の石綿健康調査参加を 支援団体、3市に要請へ
2014/01/17 06:40
阪神・淡路大震災の復旧作業などにかかわった労働者5人が、アスベスト(石綿)が引き起こすがん・中皮腫を発症し死亡していることから、NPO法人ひょうご労働安全衛生センターなどが23日、神戸、芦屋、西宮の3市に、環境省の「石綿の健康リスク調査」に参加するよう求める。(中部 剛)
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震災関係では、復旧作業に約2カ月携わった宝塚市の男性=当時(65)=が中皮腫を発症し、死亡。ほかに石綿を吸い込むような仕事をしておらず、2012年8月、西宮労働基準監督署が発症と作業の因果関係を認め、労災認定した。このほか08年以降、震災後の復旧・復興にかかわった兵庫県内の4人が中皮腫を発症している。
安全センターは「震災から19年で5人の死亡という事実は、石綿被害が広く、早く進んでいると言わざるをえない」と指摘。さらに「復旧・復興作業にかかわった労働者だけでなく、被災地で暮らしてきた人への影響も懸念される」としている。
こうした事情を踏まえ、安全センターと「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会ひょうご支部」が、3市に環境省のリスク調査に参加するよう要請する。また、市民や元市民を対象にした健康管理対策も求める。
リスク調査は、尼崎市のクボタ旧神崎工場周辺で石綿被害が判明したクボタショックを機に、06年度に始まった。尼崎市や大阪府泉南地域など全国7地域で実施されている。