あなたが生きる支えに 震災19年、遺族の思い
2014/01/17 16:40
東遊園地を訪れた遺族らに鎮魂の思いを聞いた。
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生後4カ月の次男拓也ちゃんを亡くした公務員明石健司さん(55)=神戸市兵庫区
「前の晩、ゆっくり風呂に入れてやった肌の感触、今も忘れないぞ。元気なら来年は成人式だったな。今年はお姉ちゃん(21)とお母さんの3人で来た。悲しみも悔しさも、変わらない。家族にぽっかりあいた穴は埋まってないけど、みんな元気にやってるで」
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神戸大学時代の友人、神徳史朗さん=当時(22)=を亡くした徳田尚器さん(41)=奈良市
「週末はおまえの下宿で24時間マージャンをやっていたっけ。大阪からバイクで駆けつけたら、おまえの部屋がつぶれていた。絶対生きていると、おまえに渡すパンを持って探し回っていたな。今日は大学の仲間3人で会いに来たぞ。おまえがいるから毎年仲間と会えるし、酒も酌み交わせる。飽きずにおまえの話で盛り上がっているよ。足腰が立つ限り、おまえがくれたつながりを大切にするからな」
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父輝行さん=当時(58)=を亡くした板倉哲也さん(43)=神戸市東灘区
「お父さん。4年前、東灘にオープンした洋食屋、なんとか続いてるで。ソースがおいしいと、なじみ客も増えてきた。震災の1カ月前、『いつか店をやりたい』とお父さんに約束したもんな。震災のときは東京の会社員で、慌てて戻ったら家のある長田は焼け野原。びっくりして、あちこち避難所を回って、遺体が見つかった4日後はお父さんの誕生日だったね。19年間、必死やった。約束、果たしたで」
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母の芦原アキさん=当時(76)=を亡くした松本とよ子さん(60)=横浜市
「女手一つで私ら7人きょうだいを育ててくれたお母ちゃん。食品工場で働き詰めだったのに、休みの日は遊びに連れて行ってくれたね。あの年、お母ちゃんの喜寿の祝いで、みんなで指宿へ旅行に行く予定だったんよ。苦労かけた分、もっと楽をさせてあげたかった。生きていてほしかった」
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小学1年の長男譲一君=当時(7)=を亡くした松下美知子さん(56)=神戸市灘区
「学校から帰るとランドセルを置いてすぐに『行ってきまーす』って飛び出していく元気な子だったね。探検ごっこも、空手も本当に一生懸命やっていたね。今日は、震災の翌年に生まれた次女も連れてきたよ。あなたを失った気持ちは元に戻らないけど、みんなで乗り越えて、何とかやって来たからね」