人々の歩み、伝える 県など「1・17のつどい」
2014/01/17 16:40
兵庫県などによる「ひょうご安全の日 1・17のつどい」は、神戸市中央区の「人と防災未来センター」前で開かれた。
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県立西宮高校音楽科の生徒らの献奏で始まり、正午には「カリヨンの鐘」の響きに合わせて全員が黙とう。主催者代表の井戸敏三知事は「人と人との絆を忘れず、防災・減災社会を構築することが私たちの責務だ」とあいさつし、県民総ぐるみで経験と教訓を伝え、次の災害に備える大切さを呼び掛けた。
新成人の竹田未央(たけた・みお)さん(20)と橘一仁(かずと)さん(20)=いずれも明石市=が県民を代表し「失われた尊い命と困難を乗り越えた人々の歩みを学び、伝える」と語った。
神戸市立なぎさ小学校の6年生約170人が「しあわせ運べるように」を合唱。「安全の日宣言」が読み上げられ、参列者が白いカーネーションを献花台に手向けた。(岡西篤志)
◇ ◇
【県民のことば 新成人代表・竹田未央さん、橘一仁さん】
震災当時1歳だった私たちは今年、成人式を迎えることができました。しかしあの瞬間、多くの若い命が奪われてしまいました。
6千人もの命を奪い、まちを破壊し、焼け野原にした阪神・淡路大震災。学校で震災を勉強しましたが、まだ知らないことがたくさんあります。東日本大震災では、テレビや新聞を通じ、命や幸せを奪う津波の恐ろしさを考えさせられました。
幼かった私たちには、阪神・淡路大震災の記憶がありません。実際に体験された人々にしか分からないつらさや悲しみがあると思います。しかし19年という時間の流れによって、震災を経験していない人が増えてきた今、記憶の風化が感じられます。
私たちは震災について、親、学校、地域から教わり、そしてこのまちの復興過程で育ちました。同じことを繰り返さないために、震災の経験と教訓から学んだことを、やがて来る災害に備えていかなければなりません。
私たちは、震災で多くの尊い命が失われたことや幾多の困難を乗り越えた人々の歩みを、次の世代の担い手として学び、そして伝えます。
ひょうご安全の日に、安全で安心な社会づくりに貢献していくことを誓います。(要旨)
◇ ◇
【追悼と誓いのことば 井戸敏三・兵庫県知事】
未知への挑戦でもあった創造的復興をめざし、県民の知恵と力を結集し、懸命の努力を積み重ねた19年間でした。
この間、東日本大震災を含め、世界各地で自然災害が猛威を振るいました。来年は阪神・淡路から20年。震災の経験と教訓の継承と発信、そして南海トラフ巨大地震などへの防災・減災対策に取り組みます。
「1・17は忘れない」。あらためて心に刻み、「安全元気ふるさと兵庫」の実現に全力で取り組むことを誓います。(要旨)
◇ ◇
【追悼と誓いのことば 石堂則本・県議会議長】
阪神・淡路大震災から19年を迎えました。震災の記憶の風化や南海トラフ巨大地震の発生が懸念されるなか、震災の経験と教訓をいつまでも忘れることなく、今後の大災害に備えて県民が連携した防災・減災の取り組みを進めていかなければなりません。
本日、ここに、震災で犠牲となられた方の尊いみ霊に対し、心から哀悼の誠をささげますとともに、安全で安心な社会の実現に向け、さらなる努力を続けてまいりますことをお誓い申し上げます。(要旨)
◇ ◇
【追悼と誓いのことば 古屋圭司・防災担当相】
阪神・淡路大震災で亡くなられた方々とご遺族に心から哀悼の意を表し、復旧・復興に取り組まれた多くの方々のご尽力に敬意を表します。
政府としてはこうした災害から得られる教訓をしっかり検証し、次に伝えることが大変重要と考えております。昨年成立した防災・減災等に資する国土強靱(きょうじん)化基本法などに基づき、引き続き防災対策に万全を期します。
企業や地域、個人に防災・減災対策を促し、災害に強い国づくり、地域づくりに全力で取り組みます。(要旨、阪本和道・内閣府審議官代読)