阪神・淡路追悼行事に東北の被災者 「地元で頑張る」

2014/01/18 09:42

東日本大震災の被災地の方角に向かい、黙とうをささげる参列者=17日午後2時46分、神戸市中央区加納町6(撮影・斎藤雅志)

 17日に兵庫県内各地で開かれた阪神・淡路大震災の追悼行事には、東日本大震災の被災者も数多く参加した。 関連ニュース 長田の「シューズプラザ」 神戸の住宅会社に売却 神戸で全日本広告連盟大会 京都や新潟の取り組み表彰 阪神・淡路大震災劇、再演始まる 石田純一さんも

 神戸・三宮の東遊園地では、宮城県名取市の仮設住宅で生活する14人が「3・11」の形に並べられた竹灯籠に点灯。地震発生の午後2時46分に合わせ、阪神・淡路の遺族らとともに被災地がある東に向かって黙とうした。
 津波で弟と家を失った太田光朗さん(75)は「故郷はいまだに復興の気配もない」とぽつり。黙とうを終え、「神戸の人たちが一緒に祈ってくれてうれしい。あらためて涙が出る思いだ」と話した。
 津波で流されながらも、九死に一生を得た自営業長沼俊幸さん(51)は「避難所でもいろいろお世話になったが、阪神・淡路を経験した皆さんの防災意識の高さに刺激を受けた。何年たっても、私たちも同じようにできなくては」と、足を運んだ意義を強調した。
 西宮市六湛寺町の市民会館で開かれた地元児童との交流会には、津波で家が全壊し、母親=当時(75)=を亡くした岩手県野田村の小原真紀子さん(49)が、次女の茉鈴(まりん)さん(8)と参加した。
 「東日本大震災ですら毎年、風化が進んでいるように感じていた。でもここに来てみて、19年が過ぎた今でも悲しみが横たわり、それを乗り越えていこうとする姿があった。野田に帰って頑張る気になった」と話した。
 神戸市中央区の市勤労会館でも、被災者同士が交流。福島県南相馬市で被災し、京都府綾部市に避難している井上貴さん(48)、美和子さん(44)夫妻の姿もあった。
 貴さんは1994年まで神戸市垂水区に住んでいた。「神戸に縁があったのに、被災地の人々を見過ごしてきた。同じ経験をして初めて気持ちが分かった」。美和子さんは「皆さんがどんな問題に直面し、どう克服してきたのか。神戸の人たちと向き合いたくて来た」と力を込めた。(まとめ・黒川裕生)

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