詩と音楽で「記憶」語り継ぐ 人と防災未来センター
2014/01/18 08:42
思いを込めて詩を朗読する歌手の深川和美さん=神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・吉田敦史)
阪神・淡路大震災などの災害にまつわる詩を朗読する「詩の朗読と音楽の夕べ」が17日夜、神戸市中央区の人と防災未来センターで開かれた。記憶や教訓を語り継ごうと、全国の被災者らがつむいだ“ことばの財産”が、市民有志や作者自らによって切々と読み上げられた。
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この催しは市民有志による実行委員会が1999年に始め、2012年までは女優の竹下景子さんが朗読を担当。昨年から竹下さんの朗読は東日本大震災の被災地に引き継がれたが、神戸でも姿を変えて続いている。
同委員会には12年までに約2500編の詩が寄せられ、そのうち85編を詩集「明日への記憶」に収録。今回はその中から、地震の激しい揺れの中、命と引き替えに自分を守ってくれた母親のことを書きとどめた「鼓動」など7編を取り上げた。
生後10日ばかりの孫の死亡届を提出するお年寄りの無念を描いた「コスモス」は、作者の米田実さん(64)=西宮市=が朗読した。感情を抑えた静かな語り口に、会場の約50人はじっと聞き入った。
会場では朗読とともに、神戸出身の歌手深川和美さんの歌声やピアニスト多久雅三さんの演奏が厳粛な雰囲気をつくり出した。(畑野士朗)