原点は震災 神戸のNPOがプロ楽団設立へ
2014/01/18 13:38
4月にプロの吹奏楽団「IMMCウィンドオーケストラ」を立ち上げる石野靖弘さん(右端)と音大の現役生、卒業生ら=神戸市中央区山本通2
阪神・淡路大震災の被災者を音楽で癒やしてきた神戸市中央区のNPO法人「IMMC(アイエムエムシー)」が4月、プロの吹奏楽団を設立する。演奏家たちが息長く活躍できる“受け皿”を目指す。子どもの情操教育にも積極的に関わる方針で、同法人の石野靖弘理事長(58)は「音楽界の裾野を広げ、プロの演奏家として生活できる仕組みを作りたい」と意気込む。
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IMMCは震災翌年の1996年、被災者を音楽で励まそうと誕生。乳幼児向けコンサートを定期的に開き、子連れで参加できる母親らのブラスバンドを結成するなど、音楽を通じた子育て支援を大切にしてきた。
一方、国内にはプロ楽団が少なく、音楽に親しんだ子どもが音大などを卒業しても、関連の仕事に就きにくい現状がある。全国唯一の公立吹奏楽団「大阪市音楽団」が橋下徹市長の方針で4月から一般社団法人となり、団員の年収の大幅減が見込まれるなど、環境は厳しさを増している。
自身も音大出身ながら、活躍の場を見つけられず写真家となった石野さんが、プロ楽団結成を発案。同音楽団の元団長竹原明さん(67)や、宝塚歌劇オーケストラのトランペット奏者だった嶋田明さん(60)が指導する。既に加入を決めている神戸、大阪の音大生や音大出身の若手もいる。
楽団の名称は「IMMCウィンドオーケストラ」。学校や福祉施設、ホールでの演奏活動のほか、子どもを対象にしたあいさつやマナーなどを学ぶプログラムを作り、学校と連携する構想もある。嶋田さんは「地元の人に愛される楽団を目指し、活動の輪を広げていきたい」と話す。
現在、団員を募集している。IMMCTEL078・261・8943
(藤村有希子)