東北復興神戸で誓う 宮城の被災者13人新長田訪問

2014/01/19 15:42

山本豈夫さん(前列右)の案内で商店街を視察する宮城県名取市の被災者ら=18日午前、神戸市長田区大橋町(撮影・中西大二)

 東日本大震災で被災した宮城県名取市の13人が18日、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市の新長田南地区を視察し、商店主らから復興の歩みを聞いた。19年前、焼け野原になった新長田の惨状を写真で見た後、再開発などで店舗や住宅が再建された街並みを歩いた。「先は長いが、われわれも力を合わせて頑張るしかない」。13人は神戸での経験を胸に、復興への思いを新たにした。(上田勇紀) 関連ニュース 震災避難10万人下回る 避難指示解除が影響、復興庁 熊本地震の復興「手伝って」 4町村、都市から職員採用へ 南三陸町の支援、今年も 加古川の「エコ炭銀行」


 東北にボランティアを派遣しているひょうごボランタリープラザ(神戸市中央区)が招いた。津波で壊滅的な被害を受けた名取市閖上(ゆりあげ)地区の元住民で、現在は仮設住宅で暮らす。17日は東遊園地で開かれた「1・17のつどい」に参加した。
 一行らは神戸市長田区二葉町の神戸アーカイブ写真館で、大火に見舞われた周辺の被災状況を学んだ。その後、同区久保町の自宅兼店舗が全壊し、仮設店舗を経て3年後に金物店を再建した山本豈夫(やすお)さん(76)の案内で、大正筋商店街などを歩いた。
 津波で母親を失った会社員荒川裕一さん(50)は「全滅のようなところから、よくここまで」と復興ぶりに目を見張った。一方で、地震と津波の違いも感じた。自宅跡はかさ上げ工事が進まず、雑草が生い茂る。「閖上に戻りたいと思っていたけど、時間がたってどんどん人が離れた。今は仮設を出た後のことは分からない」
 津波で夫と孫を亡くした沼田里子さん(66)は「高い建物や広い道路に驚いた」。自宅跡は災害危険区域に指定され、建築制限がかかる。「復興のスピードが違う。閖上は東北の中でも遅くていらいらする」。3月には仮設を出て仙台市に移り住むつもりだ。
 13人はそれぞれの思いを胸に、鉄人28号モニュメント前で記念撮影。鉄人をまねて「閖上頑張るぞ」と力強くガッツポーズし、「神戸に来てよかった」と笑顔を見せた。
 案内した山本さんは「みんなの明るさに少し安心した」と振り返り、「必ず復興できる。信じてほしい」とエールを送った。

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