NPOが今年も神戸で炊き出し 困窮者支え20回目の冬

2014/12/29 07:00

 阪神・淡路大震災が起きた1995年、日雇い労働者らが冬を越せずに路上で死亡するケースが相次いだことを受け、NPO法人「神戸の冬を支える会」が神戸市中央区の東遊園地で始めた年末年始の炊き出しが、今年も28日に始まった。午後から冷たい雨が降る悪天候の中、約120人が列をつくり、温かな食事で一息ついた。(高田康夫) 関連ニュース NPOが福岡でラーメン炊き出し 豪雨被災者支援、熊本から 六甲全山縦走で炊き出し 学生らが完走者ねぎらう みなとこうべ海上花火 打ち上げ増で人出1・5倍予想


 震災では、簡易宿泊所や路上で生活しながら港湾などで日雇い仕事をしていた人々の多くが行き場を失った。住居がないことで被災者と見なされず、避難所を追い出されたり、食料が支給されなかったりしたという。
 同会は95年11月に結成。翌月、東遊園地に「冬の家」と名付けた大きなテントを張り、大みそかは50人がそこで過ごした。以降、年末年始に必ず冬の家を開き、生活困窮者を支え続ける。リーマン・ショックがあった2008年末には、派遣切りにあった人々も炊き出しに詰め掛けた。
 こうした活動とともに、同会は10年末から兵庫県の委託を受け、国庫補助事業として年間を通じて生活困窮者の相談対応や一時宿泊所の提供などを全県で担ってきた。ただ、来年4月の生活困窮者自立支援法施行で事業は終了。県や各市に一部費用負担が発生するようになるため、従来通りに実施できるかは不透明なのが実情だ。
 13年度の相談者は年間約1200人。年末年始の9日間だけで延べ200人を超え、同会はスタッフを増員して対応してきた。今後、会の運営が厳しくなる事態も想定され、青木茂幸事務局長(58)は「県内全体で一律の支援が受けられるよう国がバックアップするべきだ。震災20年を超えても『冬の家』を続けられるよう踏ん張りたい」としている。
 冬の家は1月5日まで。同6~10日は尼崎市東七松町1の橘公園で炊き出しがある。年末年始の相談はフリーダイヤル0120・018882(4日までの午前10時~午後4時)

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