転機 それから
古里の自然取り戻したい

山本勝也さん (52)
須磨ふるさと生きものサポータ代表/神戸市須磨区

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転機 それから
古里の自然取り戻したい

山本勝也さん (52)
須磨ふるさと生きものサポータ代表/神戸市須磨区

 須磨寺前商店街で1929(昭和4)年から続く眼鏡店の3代目です。この地域は空襲の被害が少なく、地震前まで下町風情が残り、山や池に生き物があふれていました。私は昆虫少年で、ここで遊んだ経験が古里を思う礎になっています。
 震災であたりは大きな被害を受けました。自宅兼店舗は全壊。家族は奇跡的に無事でした。私はスキーで長野県にいて、電車を乗り継ぎ、最後は大阪から自転車で、倒壊した建物をくぐり抜けるように帰ってきました。家は約1年後に再建しましたが、復興とともに街の風景は一変してしまい、喪失感がわいてきたんです。
 それがきっかけの一つとなり、9年前に地元で自然保全活動を始めました。趣味で昆虫観察を続ける中で、外来種が在来種を脅かしていることを感じていました。街は変わったけれど、古里の自然は昔の姿を取り戻したいと強く思ったんです。
 地域の人と、イシガメやカワバタモロコなどを増やしたり、落ち葉を積んでカブトムシがすむ森づくりをしたりしています。メンバーの子どもたちが、保全活動を次世代へ引き継いでくれればと思っています。(中西大二)


2014年7月23日掲載
写真撮影場所:

神戸市須磨区西須磨