願う安全 誓う防災
市職員の経験 教壇で

太田敏一さん (65)
明石高専特命教授/神戸市西区

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願う安全 誓う防災
市職員の経験 教壇で

太田敏一さん (65)
明石高専特命教授/神戸市西区

明石高専などの1年生を対象に「防災リテラシー」という授業を担当しています。
 リテラシーとは基礎知識という意味。地震や津波、土砂崩れのメカニズムから、災害情報の活用法まで幅広く教えます。将来、地域や会社で防災リーダーになってもらうための学習でもあります。
 2013年に授業が始まる前、高専が教員を公募していると知り、「これだ」と思いました。震災の教訓を若者に伝える場を求めていたんだと思います。
 私は60歳まで神戸市の職員でした。ずっと港湾土木の現場にいましたが、震災直後、市全体の復興計画をまとめる部署に配属されました。安全性の高い街を目指そうと各部局から知恵を集めました。
 でも、仕事で復興に携わったのは4年半だけ。その後は役所で勉強会をしたり、研究者の会議に参加したりして、個人的に防災を学びました。経験を忘れてはいけない、という思いがあったんです。
 普段できないことは災害時にもできない。学生たちには、そのことを伝えたい。今、教壇に立てることに感謝していますし、運命のようにも感じています。(聞き手・小林良多)


2014年12月17日掲載
写真撮影場所:

同僚の松野泉特命教授(中央左)と=明石市魚住町西岡、明石高専