被災地の消防、葛藤伝える 阪神・淡路の舞台再演
2015/02/24 16:45
(左から)ピープルパープルの宇田学さんと出演の木村祐一さん、音尾琢真さん、荒木宏文さん=東京・池袋のサンシャイン劇場
阪神・淡路大震災時の消防士の奮闘と葛藤を描いた劇団「PEOPLE PURPLE(ピープルパープル)」の舞台「ORANGE(オレンジ)」が再演を重ねている。当時、命の最前線で闘った100人を超える神戸の消防士に取材して作り上げた。20年の節目を迎えた今年2~3月、芸能事務所アミューズと共同で、東北を含む全国9都市で22ステージを披露し、命の大切さを訴える。(小西博美)
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劇団ピープルパープルは岡山県出身の宇田学さん(37)らが2000年1月に設立。神戸を拠点に活動する。
震災当時、高校生だった宇田さんはボランティアで神戸へ。オレンジ色の制服を着た救助隊員が、がれきの中を走り回るのを見て「いつかこの人たちのことを伝えたい」と思ったことが作品につながった。
初演は04年で、今年1月にはTBS系列でドラマ化された。
「僕らにとって唯一の負けや」-。神戸の消防署を舞台に、小隊長が若い隊員に震災のことを語り始め、物語は展開する。妻と娘を亡くしながら救助の指揮を執った隊長や、倒壊家屋に埋もれた女性を救助中に火の手が迫り、泣く泣く現場を離れた消防士もいた。
主役級の若き消防士を演じる俳優集団「D-BOYS」の荒木宏文さん(31)は兵庫県丹波市出身。「被災地から距離があり、そんなに激しい状況は経験していないが、20年たったこの時期に、この作品を演じることに意味がある」と話す。
「この作品が一人の命を救えるかも」と再演を決めた宇田さん。「一瞬にして多くの命が奪われた大震災を思い、一日一日を大事に生きてほしい」と訴える。
3月8日まで、仙台、秋田、北海道などを回る。詳しくはhttp://orange‐2015.jp/