英語教科書で学ぶ「命」 阪神・淡路大震災20年の歩み掲載
2015/06/03 14:53
震災を描いた教科書
今春、文部科学省の検定に合格した中学3年の英語教科書に、阪神・淡路大震災から20年の歩みが掲載された。震災から生まれた歌「しあわせ運べるように」や、神戸市中央区・東遊園地のガス灯「1・17希望の灯(あか)り」を紹介し、命の大切さを英文で伝えている。市町村教育委員会などがこの教科書を選べば、来年4月から使用される。(上田勇紀)
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教育出版(東京都)の英語教科書「ONE WORLD(ワンワールド)」。リーディング教材として、全143ページのうち6ページを阪神・淡路に割いている。震災の詳しい記述が英語教科書に載るのは珍しいという。
神戸に住む中学3年の絵里を登場させ、祖母から教わった震災を英語スピーチコンテストで発表するというストーリーを展開する。
絵里は祖母の言葉を引用しながら、1995年に始まった「神戸ルミナリエ」、震災直後に神戸の小学校教諭が作った「しあわせ運べるように」、被災者を照らす「1・17希望の灯り」を紹介。震災で犠牲になった少女にちなんだ「はるかのひまわり」にも触れる。
絵里は「東北と神戸の強い絆を感じる。私は困難に立ち向かい、助けを求める人に手を差し伸べられる強い人になりたい」と締めくくった。
企画・監修した京都教育大の泉恵美子教授(53)=英語教育=は、阪神・淡路で芦屋市の両親の自宅が半壊。「ずっと震災を取り上げたかった。単に文法を学ぶためではなく、震災を記憶にとどめ、語り継いでいってほしい」と期待を込めた。
教育出版の山内典子英語科編集長も「教材を通じ、痛みを分かち合う気持ちを持ってほしい」と話していた。
【英語教科書の一部】
My grandmother said,“We stood up in unity and helped each other.
We believed that we could rebuild Kobe,and continued to have hope.”
She told me about a monument called“1.17 Flame of Hope.”
【英語教科書の翻訳文】
祖母は「私たちは団結して立ち上がり、助け合った。
神戸が復興すると信じ、希望を持ち続けた」と言いました。
そして「1・17希望の灯り」と呼ばれる記念碑のことを話してくれました。