阪神・淡路教訓、災害備え 大容量送水管が本年度完成 神戸
2015/06/12 12:20
災害時の給水拠点のイメージ
災害に強い水道を目指し、神戸市が阪神・淡路大震災後から進めてきた「大容量送水管整備事業」が2015年度、完了する。20年間で総事業費約370億円を投じ、同市東灘区から兵庫区までの全長12・8キロに耐震性に優れた送水管を整備。地震などの災害に備え、六甲山中を通る既設の送水トンネルとリスクを分散するほか、災害で送水が止まった場合、管内の水を応急給水に利用できる。(紺野大樹)
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事業は阪神・淡路大震災翌年の1996年にスタート。神戸市内には、六甲山中を通る2本の送水トンネルがあり、東側から延びる阪神水道企業団の送水トンネルとつながっている。同市は震災をきっかけにリスクの分散を考慮し、都市部の地下を通る送水管の整備に乗り出した。
大容量送水管は直径2・4メートル。同市の東灘区森南町から兵庫区楠谷町にある奥平野浄水場を結ぶ。98年度に着工し、昨年3月、トンネルの掘削工事が完了。最終年度の15年度は同浄水場内での整備などを行い、16年度中の運用開始を検討している。
阪神・淡路大震災級の地震にも耐えられるとされ、断層をまたぐ同市中央区の一部約20メートル分は、断層対策用の鋼管を送水管として全国で初めて使用した。
平常時は、大容量送水管を通る水は配水池へ送られるが、災害時は直接、送水管から給水できるように6カ所の拠点を設けた。連絡管を使って各家庭へつながる配水管へ送水するほか、地上では被災者に水を配ったり、タンク車に給水したりできる。
大容量送水管の貯水量は約5万9千立方メートル。1人1日3リットル使うとして、市民154万人の12日間分に相当するという。
同市水道局は「阪神・淡路大震災の教訓を生かした事業がようやく終わる。市民に安心・安全な水を配るため、重要な送水管になる」としている。