「神戸復興塾」小森さん塾長引退 被災者支援後進にバトン

2015/06/17 14:37

3・11支援集会で発言する小森星児さん=いずれも6月11日夜、神戸市中央区下山手通4

 阪神・淡路大震災をきっかけに発足した市民団体「神戸復興塾」の小森星児さん(79)=篠山市=が先月末、約19年間続けてきた塾長を引退した。「被災者のために」を合言葉に、阪神・淡路でも東日本大震災でも人に寄り添い、仲間とボランティア活動に力を尽くしてきた。今後はメンバーの一人として活動を支える。(上田勇紀) 関連ニュース 震災避難10万人下回る 避難指示解除が影響、復興庁 熊本地震の復興「手伝って」 4町村、都市から職員採用へ 民進2トップ被災地入り 復興重視アピール


 小森さんは東京都出身。神戸山手大学学長やひょうごボランタリープラザ初代所長などを歴任し、災害ボランティア派遣の礎を築いた。
 神戸復興塾は阪神・淡路の翌年、1996年に始まった。コンサルタント、医師、弁護士、ジャーナリストらが課題を持ち寄り、解決策を探った。「異業種が集まったのが特徴」と振り返る。
 神戸市内の災害復興住宅では、入居者と地元団体との事前交流会を実現。99年からは、同市長田区を歩き、震災の記憶を継承する「こうべi(あい)ウォーク」を始めた。
 「名古屋の人が花の苗を寄付する」と聞けば、被災者との調整役を担った。「行政にはできないことを、市民が力を合わせてやってきた」と自負する。
 2011年の東日本大震災後は、東北などから兵庫県に避難してきた被災者を支援。洗濯機や布団をワゴン車に積み、仲間と避難者がいる住宅を回った。直後から、支援者らが情報交換する「3・11支援集会」を開催。発生から4年3カ月がたった今も、各種団体や個人が月に1度集まり、意見を交わす。
 塾長引退は「もうすぐ80歳。そろそろバトンを渡すべき時」と決意した。次の塾長は決まっていないが、支援集会は当面継続し、兵庫と東北をつなぐ。
 「いずれ南海トラフ巨大地震が起こる。そのとき、阪神・淡路や東日本の経験を知る人を一人でも増やしたい。それが備えになる」と小森さん。引退後も篠山市から神戸に通い、集会を見守る。
 次の支援集会は7月13日午後6時半から、神戸市中央区雲井通5の勤労会館で。資料代500円で参加可。

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