警官が災害訓練 専用施設が完成 堺に全国初

2015/12/30 22:39

豪雨時、地下街へ水が流れ込む状況を生み出す訓練設備も=堺市北区、近畿管区警察学校

 兵庫県など近畿6府県の警察官が地震や大雨、土砂崩れなど多様な災害訓練を受ける全国初の施設が堺市北区に完成した。設置した警察庁は21種の訓練設備を用意。阪神・淡路大震災でも多発した家屋倒壊を再現し、救助訓練ができる独自開発の施設もある。来年1月から使用される。(小林良多) 関連ニュース 三木市消防本部が水防訓練 豪雨で河川増水を想定 警視庁機動隊が観閲式 「安全な東京の実現を」 兵庫県警と大阪府警、初の合同災害訓練 

 全国の都道府県警は阪神・淡路大震災を機に、災害時に広域で活動する専門部隊を設置、増員してきた。一方、日常的な訓練施設を持つ場合は少なく、取り壊す前の建物を使うなどしてきた。
 このため、同庁自前の本格的な災害訓練施設を全国に2カ所設けることを決め、西日本の拠点として堺市内にある近畿管区警察学校内へ先行設置した。面積は4800平方メートル、事業費は2億2千万円。
 施設は三つのエリアに分けられ、土木や建築の専門家と協議して設計した。「がれき災害エリア」に設けられた倒壊家屋の訓練施設は鉄製の枠を重ねた構造で、一つの高さは約1メートル。人が腹ばいでようやく進める広さに設定している。訓練に応じて、積み木のように入れ替えることができる。
 ゲリラ豪雨などを想定した「水害エリア」では車が水没した状況を再現できる深さ約2メートルのプールを設置。「土砂災害エリア」には家屋に流れ込んだ土砂を取り除く訓練施設があり、土質による作業効率の違いも体験できる。
 近畿管区警察局の道家利幸災害対策官は「訓練は専門部隊だけでなく、警察官が定期的に受ける研修の中にも組み込まれる予定で、阪神・淡路の教訓を広める意味でも役割は大きい」としている。

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