阪神・淡路大震災21年 次の災害で誰かの役に
2016/01/18 12:00
竹村夏希さん
58人が亡くなった震源地の淡路市。北淡震災記念公園であった追悼行事で、同公園職員の竹村夏希さん(24)同市斗ノ内=は、海風に揺れる竹灯籠の火にそっと手を合わせた。同市内で1人暮らしだった曽祖母の大崎みのるさん=当時(85)=を亡くした。
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当時3歳。衝撃を感じた次の瞬間、隣で寝ていた父親が体を布団で覆ってくれた。真っ暗闇で何が起きたのか分からなかった。大崎さんは崩れた自宅の下敷きに。顔はぼんやりとしか覚えていない。
知人の紹介で職員になったのは、昨年の正月。「どんな人やった? どんなふうに亡くなった?」。今まで知らなかったその生涯を、初めて父に尋ねた。
地震を引き起こした野島断層の案内を任されている。「うまく解説できないこともあるけれど、伝える思いがないと伝わらない」。震災体験を語る客に接するうち、少しずつ曽祖母の死も実感できるようになった。
21年を経て、当時の大人ですら、あの日のことを忘れているように感じる。「次は記憶のない僕らが伝える番。次の大災害で誰かの命を助けるために」。力強く語り、竹村さんはこの日も断層の前に立った。(長江優咲)