復興の酒「千夢酔」完成 初搾り体験会に100人

2017/01/17 05:30

復興のシンボル「千夢酔」で乾杯する参加者ら=淡路市久留麻、千年一酒造

 阪神・淡路大震災の年に生まれ、復興のシンボルとして親しまれている純米酒「千夢酔(せんむすい)」の初搾り体験会がこのほど、兵庫県淡路市久留麻の酒造会社「千年一酒造」であった。淡路島内や阪神間などから約100人が参加し、深みのある搾りたての味わいに酔いしれた。(内田世紀) 関連ニュース 北播の日本酒知って 加西のデザイナーが冊子作成 播州織の端切れや残糸 酒店でおしゃれに変身 多可町産山田錦の大吟醸酒飲み比べ 2月に催し

 日本酒愛好家でつくるグループ「淡路酒探偵団」が、淡路の米と水にこだわった酒造りを目指し、1995年初頭に出来上がるよう同社へ仕込みを依頼。完成を前に起こった震災で酒蔵が壊滅的な被害を受けたが、唯一残ったタンクで翌月に千夢酔を誕生させた。その後も復興への思いを込めて毎年造り続ける。
 今年は、同市長畠産の酒米「五百万石」約900キロから、一升瓶約630本分を醸造。体験会では杜氏(とうじ)の藤澤和隆さん(83)が「米の本当の味が現れたふくらみのある酒になった」と話し、全員で乾杯した。参加者はひしゃくとじょうごで酒を瓶詰めし、封やラベルを施して持ち帰った。
 同市志筑で広告業を営む男性(59)は「社屋を建てたのが震災の年だった。復興と共に歩んできた酒を味わうのは、とても感慨深い」。同グループの岡田清隆代表は「震災を振り返るための大切なお酒として、全国にファンが広がった。風化を防ぐためにも、酒造りを続けたい」と力を込めた。
 千夢酔は一升瓶が3千円(税込み)で販売される。高田酒店TEL0799・84・0078

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