20年読み継がれる防災絵本 芦屋の教員らが制作

2017/01/16 22:56

避難所の様子などを描いた絵本

 阪神・淡路大震災の教訓を伝える教材として、幼稚園などで読み継がれる1冊の絵本がある。「あしたもあそぼうね」。被災した幼稚園児が避難生活などを通じて命の大切さを学ぶ内容で、20年前に兵庫県芦屋市内の小学校教諭らが制作した。17日には同市内の3幼稚園で読み聞かせがある。 関連ニュース 途切れた震災追悼行事復活へ 神戸・六甲道南地区 郷里への思い歌に 平松愛理さんが復興支援ライブ 【写真集】阪神淡路大震災直後の神戸

 「あしたも-」はA4横長判、48ページ。明石、神戸、阪神間の幼稚園、小学校教諭5人が震災翌年から作成。県教育委員会が1997年に発行した。
 幼稚園児の主人公「けんちゃん」が、震災で家具の下敷きになったが父親に助けられ、家族と避難生活を送るストーリー。避難所では高齢者に声をかけたり、給水車の列に並んだりして、助け合いの大切さや人の役に立つ喜びを学んでいく。
 絵を手がけた元小学校教諭の竹本温(はる)子さん(71)=芦屋市川西町=も、同市津知町で被災。自宅マンションは半壊し、市役所などで避難生活を送りながら、勤めていた小学校へ通った。
 絵本は県教委から依頼されて作成。家々が倒壊し西の空から煙が上がる情景は、津知町の様子を描いた。避難所で配食を手伝う子どもたちの姿も実際の様子だといい、「幼くてもできることはたくさんある、と伝えたかった」と竹本さん。20年たっても読み継がれていることに、「困難を切り抜けてきた歩みを、伝え続けてもらえてありがたい」と話す。
 絵本は、春を迎えて、けんちゃんがタンポポの綿毛を飛ばすシーンとともに、次の言葉で締めくくられる。
 「たんぽぽの ねっこって、つちの なかに ふかく ふかく のびているんだよ。どんなことが あっても、また、あたらしい めを だして おひさまの ような はなを さかせる つよい ちからを もっているんだよ。」(斉藤絵美)

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