東日本で被災の元校長「震災の記憶、若者が伝えて」
2018/01/13 06:45
阪神・淡路大震災から17日で丸23年となるのを前に、兵庫県立舞子高校(神戸市垂水区学が丘3)で12日、生徒らが講話や学習会で防災について学ぶ恒例の「1・17メモリアル行事」が開かれた。今年は、東日本大震災で被災した石巻西高校(宮城県東松島市)の元校長で、東北大特任教授の齋藤幸男さん(63)が講師として登壇。避難所運営や生徒の心のケアに尽力した経験を1300人の生徒らに伝えた。
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石巻西高校は震災直後から避難所となり、遺体安置所に指定された体育館には一時、約700人の遺体が収容された。現在は、全国各地の学校を巡り、震災の教訓を伝えている。舞子高校との関わりは、2011年5月から。同校生徒が東松島市などで泥かきなどを行ったことがきっかけで、交流が始まったという。
講演で齋藤さんは、遺体安置所と避難所が同居した学校の記憶を語り、災害下の生活を「生と死の境目がなくなった中を生きる」と表現。また、トラウマ(心的外傷)で荒廃した時期を乗り越えた後の子どもたちの成長について事例を紹介。「若い人は、前に向かって希望を信じる力がある。若者が若者に震災の記憶を伝え、後世に生かしていくことが重要だ」と訴えた。
講演後、齋藤さんは「(東北の海岸で)ご遺体に遭遇しながらも、舞子の生徒たちは活動してくれた。私の記憶と教訓を神戸と全国の人たちにつないでいく。『恩送り』をしていきたい」と決意を語った。(杉山雅崇)
東日本大震災の経験と教訓を生徒らに語る東北大特任教授の齋藤幸男さん=神戸市垂水区、舞子高校