私たちにできること 舞子高環境防災科15年(3)広がる言葉

2018/01/16 05:30

宮城県・多賀城高校災害科学科の生徒と交流する舞子高校環境防災科の生徒たち=宮城県、多賀城高校(後藤謙太さん提供)

 「僕たちは、震災を語り継げる最後の世代になる。何があったのか、自分の言葉で伝えないといけない」。東日本大震災で被災した石巻高校の雁部那由多さんが言った。昨年夏、舞子高校環境防災科の生徒が宮城県石巻市を訪れていた。雁部さんの意志の強さに、同科3年の後藤謙太さん(18)は心が動いた。 関連ニュース ロンドンで東日本大震災追悼式典 福島県人会、中心部の日本庭園で 大川小学校津波、大量流木確認 河口の松林流失、被害拡大 【若い世代の語り部たち】あの日の記憶、語り継ぐ 震災の教訓、次世代へ

 もともと防災に興味があったわけではない。消防士を志望し、地震のメカニズムに興味があって進学先を選んだ。何を学ぶ学科なのかは詳しく知らなかった。
 入学後、校外学習で東北を訪れ、現地の高校生と仲良くなった。中でも後藤さんの意識を大きく変えたのが、同い年の雁部さん。小学5年生で被災し、16歳で「語り部」活動をしていた。
 「泥の波が目の前の人を飲み込んだ。手を伸ばしてきたが、その手をつかめなかった」。雁部さんの体験、表情に衝撃を受けた。同時に、同世代の言葉が持つ影響力を確信する。「自分も何か伝えなければ。まずは同じ世代へ」
 後藤さんは17日、中央区の人と防災未来センター前で開かれる「ひょうご安全の日 1・17のつどい」で、高校生代表としてメッセージを読み上げる大役を務める。
 「東日本大震災の後、メディアが報じる『福島』に疑問があった」と話すのは、同科3年の大坪直人さん(18)。原発事故後、観光客が減り、農作物がまったく売れなくなってしまった福島県。かつて舞子高校を訪ねた福島西高校の生徒は、福島に安全な地域や食べ物があることを調べ、必死で訴えていた。
 「一度伝わった情報は一人歩きする。何事も本当かうそかを正しく判断して、正しい言葉で伝えたい」
 同じ3年の片山柚希さん(18)は、宮城県の多賀城高校との交流で気づいたことがある。東日本大震災後、「災害科学科」が新設された同校。自然災害や防災を勉強する立場は同じだが、「伝える」という行為には多賀城の生徒と内面の違いがあった。「大きな被災体験のない私たちは、阪神・淡路大震災の質問にためらいなく答えられる。でも、東北にはそうじゃない子もいる」
 片山さんは思う。「同じ地域で暮らし、同じ災害に遭っても、心に抱える傷は1人ずつ違う。お互いに何かを教えようとするのではなく、友達同士になったことが励みになる」
 東北と神戸の高校生が感化し合う。受け取った思いは、それぞれが見つけた言葉で広がっていく。(勝浦美香)

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