神戸の優しさ忘れない 宮城・閖上の男性来神

2018/01/18 07:00

堀内圭三さん(右)と肩を組んで歌う木皿俊克さん(左)=16日午後、神戸市中央区三宮町1

 「神戸の優しさで立ち直れた」。宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区に自宅があった木皿俊克さん(61)は、2011年の東日本大震災の津波で妻の典子さん=当時(50)=を亡くした。14年に「どん底」のまま訪れて以来、毎年1月17日には神戸の土を踏む。同じ心の痛みが分かる阪神・淡路大震災の被災者や支援者と交流して、元気を取り戻しつつある。(阪口真平) 関連ニュース 神戸-関空ベイ・シャトル、2日の計10便欠航 代替バスを運行 「巨大カボチャ」が搭乗客見送り 神戸空港駐機場、ANAなど8便に カウンターでお菓子配布も 国際化や利便性、神戸空港に大きな可能性 関西3空港間のアクセス強化要望も 関学大で航空3社首脳ら討議

 11年3月11日、木皿さんの家族はバラバラの場所で被災した。3人の子どもからは無事を知らせるメールが入ったが、名取市と隣接する同県岩沼市で仕事をしていた典子さんとは全く連絡が取れなかった。
 木皿さんは3日間、両市の避難所を巡り避難者名簿を繰ったが、見つからない。「だめかもしれない」。翌日から遺体安置所を回り始め、震災から1週間後に見つかった。
 東日本大震災の被災地支援を続ける「ひょうごボランタリープラザ」(神戸市中央区)の招きで、14年に神戸を訪問。懇親会で京都のシンガー・ソングライター堀内圭三さん(57)と出会い、一緒に歌って意気投合した。以来親交を深め、「震災前からずっと親友だったよう」と木皿さん。今年も16日に神戸入りし、再会した堀内さんとステージで熱唱。「前を向いて生きていくパワーをもらいました」と満面の笑みだった。
 17日は三宮・東遊園地の「1・17のつどい」や、HAT神戸の「ひょうご安全の日のつどい」に参加。昨年11月にようやく仮設住宅から市営住宅に移った近況を報告した。「東北の犠牲者を、神戸の大切な仲間と神戸の地で追悼できるのはありがたく心強い。来年もぜひ来たい」
 神戸空港で見送った同プラザ所長の高橋守雄さん(69)から「3月(11日)は行くからね」と声を掛けられ、「待ってます」と元気に応じた。

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