震災で長男夫婦亡くした夫婦が「桜を囲む会」 神戸
2018/04/08 08:44
亡き長男夫婦をしのんで植えた桜の元に立つ足立悦夫さんと妻朝子さん=神戸市灘区高徳町1
阪神・淡路大震災で亡くなった長男夫婦をしのび、足立悦夫さん(86)と妻朝子さん(82)=兵庫県豊岡市=が毎年開く「桜を囲んで語る会」が7日、神戸市灘区の石屋川公園などであった。長男の元同僚だった女性が初めて参加し交流。桜はほぼ散っていたが、悦夫さんは「23年かけて息子が引き合わせてくれた気がする」と目を細めた。
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長男伸也さん=当時(27)=と妻富子さん=同(25)=は新婚4カ月で公園近くのアパートに住んでいたとき、帰らぬ人となった。18年前に2人が生きた証しにと桜を植え、毎春友人らと花見会を開いている。
約50人が集まった今回は、伸也さんが勤めた神戸マツダの元同僚、町田禮子さん(73)=同市垂水区=の姿があった。部署は別だったが、伸也さんは「お母さん」と呼んで親しみ、町田さんも頼み事を断らない伸也さんをかわいがった。
町田さんは震災の日がくるたび、伸也さんを思い出し胸が痛んだ。今年、足立さん家族を取り上げた神戸新聞但馬版の記事を知り、掲載された伸也さん夫婦の結婚式写真に涙が出た。大事に持つ伸也さんの年賀状写真と同じだった。
朝子さんと連絡を取り、伸也さんとの思い出を伝えた。「引っ越しするねん」「落ち着いたら家に呼んでね」。震災2日前のやりとりに、朝子さんは「私たちが知らないあの子の姿を教えてくれた」と喜んだ。
「会えてうれしかった」と笑う町田さんに、悦夫さんも「息子がつないだ出会いに感謝したい」と破顔した。(金 旻革)