神戸の被災者が木臼寄贈 芦屋の復興住宅で餅つき
2020/01/16 18:30
林さん一家から譲り受け、餅つき大会で使われる木臼。東日本大震災の被災地を支援しようと購入された=芦屋市陽光町
兵庫県芦屋市の南芦屋浜地区にある阪神・淡路大震災の復興住宅で19日、餅つき大会が開かれる。今年は住宅の生活援助員(LSA)を通じて、神戸の被災者から木臼を譲り受けた。東日本大震災の被災地を支援しようと購入された物で、地域の絆づくりに役立てられる。
関連ニュース
81歳女性、市長に手紙「行き場ない」 復興住宅の退去判決確定
お母さん「生き方を教えてくれてありがとう」東日本支援が転機、語り部に
「1・17」あなたへあふれる気持ち、語り継ぐ
木臼は神戸市兵庫区の太極拳講師、林信之さん(故人)が所有していた。妻の裕美子さん(66)によると、年末年始に餅をつき、家族や教え子、近隣住民ら20人以上が臼を囲んだ。
一家は阪神・淡路大震災で被災し、自宅は全壊。信之さんは避難所の小学校に出向いて太極拳を教えたり、教え子に物資を届けたりした。東日本大震災の後は、福島県田村市で作られたケヤキの木臼を手に入れ、自宅前の通りに威勢の良い掛け声が響いたという。
だが、信之さんに胃がんが見つかり、昨年2月に帰らぬ人となった。「また餅つきをしたい」と家族に話していたといい、臼を提供した裕美子さんは「同じ被災した人に使ってもらえてありがたい。夫も喜んでいると思う」と話す。19日も会場に足を運ぶつもりだ。
餅つきは地元自治会や高齢者福祉施設などでつくる「潮芦屋ふれあい元気の会」が主催し、同日午前10時半から。およそ8年ぶりに県営南芦屋浜高層住宅集会所前で行われる。芦屋市営南芦屋浜団地集会所LSA TEL0797・38・2068
(風斗雅博)