1・17追悼の集い、遺族代表加賀さん 娘の存在、笑顔の支えに
2021/01/08 07:00
震災26年の遺族代表として17日の「追悼の集い」に出席する加賀翠さん=7日午前、神戸市役所(撮影・斎藤雅志)
阪神・淡路大震災から26年となる17日、神戸・東遊園地で催される神戸市主催の式典「追悼の集い」に、震災で6歳の長女を亡くした神戸市東灘区の日本舞踊師範加賀翠さん(65)が遺族代表として出席する。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で式典でのあいさつは中止となったが、同日「ことば」を発表する。加賀さんは7日に会見し、「こんな時でも誰かが震災を語り伝えなければと思い、引き受けた」と話した。
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加賀さんの長女桜子さんは同区森南町1で、全壊した自宅の下敷きになった。見よう見まねで1歳から日本舞踊を踊り、近所の人からも愛された。「セーラームーン」とスイートピーの花が大好きだった。
悲しみも癒えぬうち、森南地区は復興土地区画整理の対象に。父幸夫さんが市と交渉を重ね、自身もまちづくりを学びつつ家庭を支えた。「毎日を生きるだけで必死だった」。曲折を経て、自身もまちも少しずつ落ち着きを取り戻した。
機会があれば母校で震災体験を子どもたちに語り、2009年に75歳で亡くなった幸夫さんの遺志を継いで民生委員も務めた。努めて笑顔を振りまいてきたのは、「まちの太陽」と言われていた桜子さんの存在が心にあったからだ。
ことばは17日に市ホームページで発表される。「これまでにないくらい、あの日の出来事や思いを時間単位で思い出した」と翠さん。当日は震災後に生まれた長男の大学2年亮(たすく)さん(20)を連れ、東遊園地で黙とうするつもりだ。(竹本拓也)