神戸・東遊園地で1・17のつどい 遺族代表のことば

2021/01/17 21:26

遺族代表として式典に出席した加賀翠さん=17日午前5時44分、神戸市中央区、東遊園地(撮影・斎藤雅志)

 「1・17のつどい」は神戸・三宮の東遊園地であり、竹や紙の灯籠でかたどった「がんばろう 1・17」の文字が浮かび上がった。 関連ニュース 「1・17」五感で見つめ直す 視覚以外「音、匂い…」テーマに体験聞き取り 関学大生の活動記録書籍化 「災害を自分事に」鷹取中生が語り継ぐ1・17 学校が避難所だった記憶を小学生へ 震災29年目の挑戦 「1・17のつどい」阪神・淡路大震災30年の2025年にタイムカプセル収納、メッセージや写真募る 神戸

 神戸市東灘区で長女の桜子さん=当時(6)=を亡くした加賀翠さん(65)が遺族代表として出席。新型コロナの感染防止のため、加賀さんや久元喜造市長のあいさつは中止され、市ホームページに「追悼のことば」が掲載された。
 市などが混雑する早朝の来場を控えるよう呼び掛けたため、午前7時までに訪れた人は昨年より約5千人少ない約2500人だった。(長谷部崇)
■遺族代表のことば(要旨)
 「チビちゃん」こと、娘・桜子と楽しんだクリスマスにお正月、豆まき、ひな祭り。誕生日から半年目にあたる4月6日には桜の下で写真を撮りました。毎年、その花が無くなるころまで寂しさが募ります。
 あの日は急に突き上げられて落ちたと思ったら、たんすとワゴンの隙間に閉じ込められ、ドンドンという大きな縦揺れ。地震だと分かりました。近所の人に窓を破ってもらい、外に出ると、何軒もの家が倒れ、道はふさがれている。血の気が引きました。
 父、母、桜子は屋根の下敷きで、隙間から「チビ、やられたかもしれない」と父の声が聞こえました。私は近所の人に助けを求め、お向かいの車に綱を付けて屋根を引っ張ると、一番に桜子が出てきました。
 「まだ温かい」。病院へ運んでもらったのは午前7時ごろ。同じころに運ばれた隣のご主人の訃報が入ったのが午前11時ごろでした。「まだ連絡がないので桜子は助かったかも」と望みをつなぎ、近所の方々の救出を手伝ったり、知り合いの被災状況を聞きに行ったりしていました。夕方に桜子は駄目だったことが判明し、気力をなくしました。
 チビちゃんはとても優しい子だったよね。震災後、幼稚園の先生から「転校して来た子に最初に声をかけてあげるのは、いつも桜子ちゃんだった」と聞きました。近所の人から「街の太陽だった」と言われました。いつもにこにこして、私が悲しそうにすると、心配してくれたよね。だから私も泣かずに、桜子のような笑顔を心がけています。
 父が亡くなってから、桜子はほとんど夢に出てきてくれません。じいちゃんと夢に出てきてください。32歳になった姿を見たいです。そして今、世界中が大変な中、私たちを見守ってください。
■追悼のことば 久元喜造・神戸市長(要旨)
 阪神・淡路大震災から26年がたちました。震災により亡くなられた方々に、心より哀悼の意を表します。
 新型コロナの感染が拡大し、緊急事態宣言が発令される中で1月17日を迎えました。震災の教訓をどのように次の世代に継承していくのか、大事な課題になっています。
 神戸市では引き続き追悼行事を続けていきます。(無料通信アプリ)LINE(ライン)を活用した災害情報共有訓練など、若い世代も参加しやすい訓練を行います。「しあわせ運べるように」を2番目の市歌に指定し、音楽という形でも震災の経験を継承していきます。防災、減災、安全、健康などの分野で、他の都市や地域に貢献する都市であり続けます。
■阪神・淡路大震災
【特集ページ】阪神・淡路大震災

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