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経営新潮流 トップインタビュー

(1)KSGグループ CEO高橋泉さん 「自分なら」の視点が大切
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ウエディングドレスが並ぶ直営スタジオで。双子の長男、長女は社会人になった=神戸市中央区海岸通3(撮影・後藤亮平)
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ウエディングドレスが並ぶ直営スタジオで。双子の長男、長女は社会人になった=神戸市中央区海岸通3(撮影・後藤亮平)

 結婚式の当日をドキュメンタリー風に撮影した婚礼アルバムや格安の小規模結婚式など、業界の「常識」を打ち破る新サービスで100億円超を売り上げるKSGグループ(神戸市中央区)。創業者で最高経営責任者(CEO)の高橋泉さん(53)は「『自分ならこんなのが欲しい!』と思うものを形にした」と語る。阪神・淡路大震災が転機になったという。(小林由佳)

   ◇   ◇

 短大を出て、母が営む冠婚葬祭会社に入りました。27歳で結婚して双子の男女を出産。いろいろあって28歳で離婚し、自立のために起業したんです。神戸市内3カ所に婚礼貸衣装とエステティックの店を開き、無我夢中の毎日。震災が起きたのはその6年後。34歳でした。

 店は全壊と半壊。倒産の文字が頭をよぎりました。そんな中、母の会社の手伝いで、震災で亡くなった方の遺体を体育館へ引き取りに行きました。何百もの遺体が並び、大勢の遺族がいるのにシーンとしている。まるで音のないスローモーションの世界。衝撃でした。

 以来、自分にできることは何かと自問しました。行き着いた答えが、神戸の地で夢や希望をもたらす会社を築こうということ。事業には動機が大切だとも痛感しました。「もうけたい」だけでは続かない。「何のためにやるのか」がないと。

常識破るサービス提供

 飛躍の土台になったのは婚礼アルバムだ。新郎新婦をファッション誌のように撮影した外国のアルバムを目にして、日本でも受けると確信した。当時、国内ではスタジオで撮った正面写真が主流だった。

 バージンロードを歩く新婦の後ろ姿とかブーケのアップとか、すてきでしょ。私だったらこんなふうにドラマチックに撮ってほしい。ところが、ホテルに売り込んでも「邪道だ」と全く相手にされない。そこで、結婚情報誌に広告を出したら大反響。20年近くたった今、同業他社も現れ、婚礼アルバムの8割がこの形式になりました。

 次に始めたのが「小さな結婚式」。自分がバツイチなので、もし次に式を挙げるなら小規模でも心のこもったものがいいと思ったのがきっかけです。

 2000年、専用の式場を神戸・北野に開き、ドレスやヘアメーク、写真など全て含めて4万8千円(現在は6万7千円)からの挙式サービスを始めました。自分ならこのくらいでやってほしいという価格に設定しました。当初、再婚や熟年婚向けと思っていたけれど、ふたを開ければ初婚も多く、現在、全国22カ所の式場で年間9千組超が利用しています。

 「自分なら」の発想で、自宅のような空間で親族たちによる葬儀「ファミリー葬」事業も始め、全国展開を見据える。周囲の評は「あきらめない人」だ。

 社会的に意義のある事業かどうかを常に考え、人のまねをせず、神戸から世界に羽ばたきたい。アジアでは結婚式に先だって婚礼写真を撮るのが一般的なので、日本への撮影旅行を誘致する計画です。神戸は地震で傷ついたけれど、自分なりのやり方で立ち直れるところを見せたい。その思いは変わりません。

<DATA>

 婚礼アルバムや小規模挙式、ファミリー葬などの国内5社、中国と米国に3社を持つ。KSGの社名は「お客さまに奉仕し続ける」という英文から。2013年5月期の売上高は105億円。従業員502人。

 ▽たかはし・いずみ 兵庫県三田市生まれ。芦屋女子短大(現芦屋学園短大)卒。1989年、貸衣装などの「レック」設立。97年から現職。神戸市北区在住。

2014/5/18

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