まだまだ分からない消費税10% キャッシュレスどう使えば?
2019/10/05 15:28
神戸新聞NEXT
消費税の税率が8%から10%に引き上げられて、きょうで6日目。生活必需品とされる飲食料品などは8%に据え置く「軽減税率」が初めて導入されました。売り場には税率が異なる商品が並び、キャッシュレスでポイント還元など、混乱している方も多いのではないでしょうか。賢く買い物するには? 制度をいま一度おさらいし、焦点をまとめてみました。(末永陽子、久保田麻依子)
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■8%か、10%か
家計への打撃を少しでも和らげようと導入されたのが軽減税率です。
「外食とお酒以外の飲食品は8%」が基本的な考え方。ただ、線引きが複雑なものもあります。「お酒」とみなされるみりんは10%ですが、アルコール度数が低いみりん風調味料は8%据え置き。栄養ドリンクも「医薬品」「医薬部外品」と表示されているものは適用されません。
「外食」の考え方は、「持ち帰って食べれば8%、店内で食べれば10%」が基本。回転ずしでも持ち帰りは8%ですが、店内で食べ残したすしを持ち帰る場合は10%となります。
外食と持ち帰りの価格について、外食大手やコンビニの対応はさまざま。牛丼チェーンの吉野家は税率に従って税込み価格を変えますが、松屋は持ち帰っても店内で食べても同じ。日本ケンタッキー・フライド・チキンや日本マクドナルドも税込み価格をそろえました。
■キャッシュレスの種類は?
増税に合わせて導入された「キャッシュレス・ポイント還元事業」。国の財源から補塡され、来年6月末まで期間限定の制度です。 キャッシュレス決済とは現金以外の手段で買い物をする仕組みで、支払い方法は大きく分けて2種類あります。
まず、カード型。後払い方式で分割払いもできるクレジットカード▽金融機関が発行し、支払代金が銀行口座から即時に引き落とされるデビットカード▽現金をチャージ(入金)し、電子機器にタッチして支払う電子マネー・交通系ICカード(JR西日本のICOCAなど)があります。大手コンビニ系のカードもこのタイプです。
もう一つ、最近利用が急増しているのが、「○○ペイ」という名前で知られる「QRコード決済」です。まず、スマートフォンにクレジットカードや銀行口座の情報を登録します。支払時には、店員にバーコード画面を掲示する▽自分でQRコードを読み取り、金額を入力して店側に確認してもらう-などの方法があります。
キャッシュレス決済は余分な現金を持ち歩く必要がなく、支払いがスムーズになるなどのメリットがあります。一方で、口座番号の不正利用やカード・スマホの紛失のほか、近年は災害時に利用できなくなるトラブルもありました。経済産業省の担当者は「こまめに利用明細をチェックし、万が一に備えて現金を持ち歩く習慣を付けてほしい」としています。
■どこで使える?
ポイント還元は対象店舗で買い物をしないと受けられません。対象店には「5%還元」などと書かれたポスターやステッカーが掲げられます。
還元率は中小の店が5%、コンビニなど大手フランチャイズ店は2%です。
外食大手は対応が分かれています。吉野家、松屋、すき家、モスバーガー、ガストなどでは全店で実施せず、マクドナルドはフランチャイズ店が参加します。
実質値引きの方法は、(1)ポイントとして後日付与される(2)支払時に即時に値引きされる(コンビニなど)(3)登録口座に後日入金される-の3種類あり、利用店舗や決済サービスごとに方法が変わります。
また、大手スーパーなどは対象になりませんが、独自の「還元セール」やクーポン配布を始めています。
10月1日からポイント還元ができる店は全国約50万店、兵庫県は2万1705店。対象は全国200万店ですので、出足は鈍いと言えます。
【教えて!先生】
■家森信善・神戸大学経済経営研究所教授(金融論)
増税に伴うポイント還元をきっかけに、日本でもキャッシュレス化は進むだろう。人手不足などで銀行が現金自動預払機(ATM)を減らしていることも拍車をかけるのではないか。
これだけ種類があると迷ってしまうが、最も幅広く普及しているのはクレジットカード。よく行く店舗でクレカを使ってポイント還元を受けられるなら、新たな手段を導入しなくてもいい。デビットカードは即時決済できるが、金庫の鍵を持ち歩くようなものなので、紛失時のために専用口座を開く方がいいだろう。
高い還元率を狙うなら、スマートフォン決済。各社とも利用者を増やそうと、キャンペーンを展開している。ただ、対象店舗や時期は限られるので、こまめな情報収集が必要だ。
キャッシュレス決済を始める人はまず、自分の行動パターンに合わせて選んでみては。どこで買い物することが多いのか、よく利用する店はどの決済方法を使っているか。決済時の手間も、判断材料になる。まずは使ってみること。そうしないと、実感として分からないだろう。