愛される旧乾邸邸宅 春の新緑、紅葉の時期にある旧乾邸(同区住吉山手5)の一般公開が、今年で10年目を迎えた。
邸宅の敷地は約3千900平方メートル、約1200坪。名建築家、渡辺節氏と竹中工務店により1936(昭和11)年に建てられた。
神戸空襲、阪神大水害、そして阪神・淡路大震災を経てもなお、当時の荘厳で豪奢な雰囲気を保ちつつ、人々を温かく受け入れる懐の大きさを感じさせる。
新緑に映える外観は美しい。5月19~25日の7日間には、午前と午後にそれぞれ神戸市の広報誌を見て申し込み、抽選で選ばれた約40人が来館した。
「風致地区ならではの環境が良い場所にある一方で、それが足かせになっている現状もある」と旧乾邸管理会会長廣岡俊司さん(72)。地域のだんじり行事などで老若男女問わず人々が多く集まったり、映画やドラマのロケ地として使われたりする。
家主不在でも、地域に、人々に愛され生き続ける。そんな魅力を生かし、末永く名建築が維持・保存されていくことを切に望む。
(わが町リポーター・村上明子)
