「無念の死、その上に今が」戦争犠牲者を追悼 慰霊碑前で遺族ら黙とう

2021/08/17 05:30

正午の時報に合わせ、黙とうをささげる追悼行事の参列者=明石市宮の上

 76回目の終戦の日となった15日、兵庫県明石市でも戦争の犠牲者を追悼する行事があった。前日から降り続いた雨がやんだ曇り空の下、市内5カ所の慰霊碑前には遺族らが参列し、静かに黙とうをささげた。(有冨晴貴) 関連ニュース <ふわり阪神>市街地の真ん中に豊かな緑 西宮神社「えびすの森」 明治から戦後の姫路 絵はがきや地図で紹介 見野の郷交流館 内橋克人さん死去 人重視の経済に信念 環境、脱原発幅広く取材


 同市宮の上、林神社の慰霊塔には、遺族や関係者8人が参列。東京の日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式のラジオ中継に合わせて正午に黙とうし、犠牲者の冥福を祈った。
 遺族会の会長を務める村山勝美さん(79)は、川崎航空機工業(現・川崎重工業)明石工場=同市川崎町=に勤めていた父親を3歳のときに空襲で亡くした。「おやじの顔はほとんど覚えていないが、空襲で工場の辺りが真っ赤になっていたのは記憶している」。村山さんは戦時中の思い出をたどり、とつとつと語った。
 父親がフィリピンで戦死した女性(77)は、大黒柱を失った戦後の母の苦労に思いをはせ、「相当がんばってくれたのだろう。食べ物に困ったことはない」と振り返った。
 「戦争はいやなもんだ。二度とやりたくない」と口をそろえた2人。「無念の死を遂げた人たちの犠牲の上に私たちの今がある。当時を知る人がほとんどいなくなってしまったからこそ、きょうは全国で御霊(みたま)を弔う日にしてほしい」と語った。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ