明石市長つぶやきに共感と困惑 ツイッターのフォロワー10万超え

2022/02/02 05:30

明石市の泉房穂市長

 兵庫県明石市の泉房穂市長がツイッターを始め、1カ月余りでフォロワー数が10万を超えた。世論に訴え掛け、自身の取り組みに共感を広げる手段として活用する一方、自身の名で許可書を出していた事業にも批判の矛先が及ぶなど、周囲を戸惑わせる事態も起きている。(長尾亮太) 関連ニュース 泉・明石市長「協議もせず予算削減されては困る」 斎藤知事に「約束」迫る 兵庫県の行財政運営で要求 泉・明石市長、市議会に議決のやり直し求める 対立が激化 工場の緑地面積巡り再議申し立て 「近隣市と同じ操業条件に」明石市長の再議に市議ら反発 工場緑地面積率引き下げ条例


 現職首長としてツイッターのフォロワー数が最も多いのは大阪府の吉村洋文知事の124万。小池百合子東京都知事(92万)や松井一郎大阪市長(41万)、熊谷俊人千葉県知事(28万)らが続き、泉市長は現在10位近くとみられる。
 泉市長が初めて投稿をしたのは昨年12月21日。この日、全国初となる旧優生保護法の被害者支援条例が成立した。ツイッターを始めた動機について、泉市長は「旧優生保護法の被害者救済をはじめ、大切な取り組みを明石以外にも広げたい」などと説明する。
 18歳以下を対象とする10万円給付を離婚後のひとり親が受け取れない可能性がある問題では、市独自に立て替え払いや回収を行う方針を示した上で「難しいかどうかではない。やるかやらないかだ」と国に改善を要望。衆院予算委員会で明石市の取り組みが紹介された。
 昼食のメニュー選びの悩みなど個人的な話題も交え、つぶやきは一日平均15回に及ぶ。
■駆け引き
 「安くて気軽に楽しめる水族館の方がいい」
 須磨海浜水族園(神戸市)の再整備事業で引き上げが予定されている入場料に絡み、独自の水族館構想を投稿。明石市役所の隣接地、県の所有する砂利揚げ場跡地「明石港東外港地区」を建設地の一案に上げた。
 泉市長はかねがね、同地区に芸術文化センターや図書館を整備するよう県に提案。投稿を受け、県は文書でそうした施設を整備する考えがないことを伝達した。泉市長は受け取った書面の画像を投稿し、斎藤元彦知事との協議をあらためて申し入れると書き込んだ。
■驚きも
 泉市長は県立明石公園の樹木伐採を巡っても積極的に発信。「伐採しすぎだ」との批判に同調するコメントが寄せられる一方、県の担当者に驚きと戸惑いが広がった。伐採は市の許可を得て行われたからだ。
 市長の投稿を受けて会見を開いた県によると、国史跡の明石公園南部分で樹木を伐採する際は文化財保護法に基づく許認可が必要。今回の伐採で文化庁への申請窓口は市が担い、2018~21年の間に8回、許可書が泉市長の名で出ていた。県の説明に対し、泉市長は「市が実質的な許認可権を持っている訳ではない」と反論する場面もあった。
 また、明石公園の管理受託団体の幹部と面会後、幹部の発言を引用する形で、斎藤知事を名指しして県批判を展開。幹部から「違う趣旨で引用しないで」と修正を求められる一幕も。
 泉市長は1カ月余りのツイッター使用を振り返り「(投稿1回分の上限)140字での表現には限界があり、誤解を招く可能性もあることが分かった」と言及。「投稿で触れる相手が政治家かどうかなどにも配慮し、より慎重に発信したい」と話す。

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