帝国ホテルから4調理師、ニューアワジで経験積む 島の食材でメニュー開発 「自分たちの料理、残したい」

2022/04/23 05:30

メニュー開発に励む(左から)合田さん、高梨さん、渡辺さん、藤代さん=あわじ浜離宮別荘鐸海

 新型コロナウイルス禍で宿泊客が減り、思うように働けなくなった帝国ホテル(東京)の調理師4人が、ホテルニューアワジ(兵庫県洲本市小路谷)に出向し、淡路島産の食材を使ったメニュー開発に取り組んだ。今月末で、昨年5月から1年間の出向期間が終わる。「自分たちの料理を島に残したい」と励み、「魚のさばき方など新しく得た知識もある」と振り返る。(中村有沙) 関連ニュース 淡路島の3千円ハンバーガー「どうしてここまで売れるのか」 「お前、誰やねん」無名&赤字社長救った生パスタ 今やロイホで全国拡大 バウムクーヘンのユーハイム、日本で100年 神戸・元町の本店、リニューアルオープン


 渡辺拓也さん(30)、合田晃貴さん(29)、藤代真志さん(26)、高梨結羽さん(23)。それぞれ帝国ホテル内のレストランや宴会場などで働いていた。
 宿泊業界はコロナ禍で苦境に立ち、ビジネス利用や宴会需要が高い都市部のホテルは特に客足の減少が著しい。ニューアワジが「若い従業員に活躍する場を」と、受け入れを検討。帝国ホテルが関心を示し、実現した。4人はニューアワジ系列のホテルで、別々のレストランに勤務している。
 メニュー開発は、ニューアワジの木下学社長(53)が、「せっかくの機会。新しいことに挑戦してほしい」と指示した。出向期間中に4回の試食会を設定。すでに3回実施した。4人が島産食材を使ったコース料理を考え、調理した。
 1回目の試食会は昨年9月で、牛肉ステーキにタマネギソースをたっぷりかける帝国ホテルの伝統レシピ「シャリアピンステーキ」を、淡路牛と島産タマネギで再現した。「帝国の味と島の素材がうまくマッチした」といい、12月から約2カ月間、ニューアワジ本館のレストランで提供した。
 3月中旬にあった3回目の試食会では、島産野菜を使ったエクレアを提案した。島の野菜の甘さに驚いた藤代さんが「スイーツに使える」と考えた。にんじん、タマネギ、紅(べに)時雨(しぐれ)大根からつくったクリームをはさんだ。ただ、生地の上に載せたマリネ野菜との相性に課題があり、提供には至らなかった。
 最後の試食会は、今月25日にある。渡辺さんは「島の食材を生かし、斬新なメニューをつくりたい」と意気込む。高梨さんは「コロナの感染拡大後、東京では技術を磨きたいのに出勤日数が少なく複雑だった。淡路島で魚のさばき方など新しい知識を覚えられた。良い経験になった」と話している。

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