農業で障害者の仕事づくり 淡路市に拠点誕生「栽培から販売まで多様な業務経験できるように」
2022/08/14 05:30
店の前に立つ福井宏昌代表(中央)とスタッフ=淡路市岩屋
農業で障害者の仕事づくりを目指す店舗「MUKU(ムク)マルシェ」が、兵庫県淡路市岩屋に開店した。同市内の耕作放棄地で野菜を栽培して販売する。就労継続支援B型事業所として大阪のNPO法人が運営する。利用希望者の見学を受け入れており、代表の福井宏昌さん(42)=大阪市平野区=は「多様な業務を経験できるようにしたい」と話す。(荻野俊太郎)
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福井代表はもともと柔道整復師で、事故などで障害を負った人の治療にも当たった。発達障害の子どもがいる友人から自立支援の相談を受けたのがきっかけで、6年前に会社を設立。障害者と健常者が一緒にプレーするユニファイドサッカーや、障害がある子ども向けの放課後デイサービスなどを手がけた。
淡路島で宿泊施設を経営する知人がおり、島内での事業活動を勧められた。ホースセラピーを考えて場所を探す中で、耕作放棄が増えている現状を知った。農業を通じて障害者が社会参画する農福連携事業に取り組むことにした。
昨年1月、NPO法人MUKU(無垢(むく)の意味)を設立。同6月、淡路市楠本の耕作放棄地5700平方メートルと、岩屋の物件を借りた。サツマイモ、カボチャなどを収穫した。今年2月から店舗を準備し、今月10日に開店した。
店内は広さ約50平方メートル。取れた野菜を販売するほか、ジャガイモを店内のカフェでスープにして出す。エダマメやハクサイも植える計画。蜂蜜の成分入りの保湿クリームを手作りして販売する。現在は福井代表と職員3人、インターン学生らが作業し、障害がある利用者が働く環境を整えるとしている。
利用定員20人。9月から足に運動機能障害のある60代男性1人が決まっているという。福井代表は「農業は栽培から販売まで多様な業務がある。一人一人に合った仕事が見つかる場にしたい」と話している。店の営業は午前10時~午後5時。土日休み。MUKU事務所TEL0799・70・5218