茶席の“花”菊炭窯出し 川西市内唯一の炭焼き農家

2021/02/05 05:30

高温の窯の中で炭を運び出す作業に精を出す今西学さん=川西市

 茶席に使われる高級炭として重用される兵庫県川西市の特産「一庫(ひとくら)炭」の窯出しが4日朝、市内唯一の炭焼き農家、今西学さん(49)=同市=宅で始まった。周囲に霜が降りる寒さの中、家族ら5人が高温の窯から約700キロの炭を取り出した。 関連ニュース 国際会議場の茶室、回廊、庭 1日2千円で貸し出します! ペレット燃料でエコなアウトドア 端材利用しコンロ開発 「最後までおいしく食べて」タンタンの竹運んで20年 別れ惜しむパンダの里

 同市によると、一庫炭は火付きや火持ちが良く、静かに燃えるのが特徴という。断面の模様が菊の花に似ていることから「菊炭(きくずみ)」とも呼ばれる。
 今西さん宅では昨年末、約20年使ってきた窯を新調。1カ月ほど中を温めた後、近隣の山で仕入れたクヌギなどを入れて焼き、4、5日間密閉してこの日を迎えた。
 作業は午前7時から開始。今西さんは、温度が90度ほどになる窯の奥に積まれた直径最大8センチの木炭を次々と外へと運び出した。窯出しは、5月半ばまで続くという。
 新型コロナウイルスの感染拡大で茶会の場がほとんどなく、販売量は大きく落ち込んだというが、今西さんは「一庫炭は茶道文化の一部。伝統を絶やさぬよう、できる限り続けていきたい」と前を向いた。(風斗雅博)

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