消防団員確保へ報酬アップ 年額で最大1万円増、若手に手厚く配分 出動時加算も新設 尼崎市

2022/03/02 23:00

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 全国的に消防団員が減少している事態を受け、兵庫県尼崎市は4月から、消防団員の年額報酬を最大1万円増額し、新たに「出動報酬」を創設する方針を示した。2009年度以降、行革の一環として続けてきた年額報酬10%カットも解除する。同市の消防団員も定員割れが続いており、待遇改善で地域防災力の核となる20~30代の団員確保につなげたい考えだ。(竹本拓也) 関連ニュース 23歳、女性消防隊員 奮闘の日々 「めっちゃ負けず嫌い」トレーニング欠かさず 火災で祖母犠牲、志した人命救助の道 消防本部初の女性消防士、誓い胸に成人式へ 初めての火災出動が阪神・淡路大震災 19歳の消防隊員は泣いた


 消防団員数は、人口減や地域社会との関係の希薄化により減少傾向が続く。尼崎市では1968(昭和43)年に定員の千人を割って以降減り続け、2018年には900人を下回った。昨年4月には862人、10カ月後の今年2月時点では過去最低の814人になっている。同市消防局は「地域活動への参加を負担に思う住民が増えている上、コロナ禍で勧誘自体ができていないのも影響した」とする。
 年額報酬では、経験が浅い団員の増額分を大きくした。運転などを担う「機関員」は3万7千円(9千円増)、団員間の指示を調整する「連絡員」は3万6500円(9500円増)、その他の団員は3万6千円(1万円増)に改める。団長、副団長、分団長など六つのポストは据え置きとしたが、長年続いた10%カットが廃止されるため実質的な増額となる。
 新設する「出動報酬」では、火災や水害などの対応に当たった場合に1日4千円を、3時間以上対応した場合には4千円を追加して計8千円を支払う。警戒活動など災害活動以外の業務には1回千円を支給する。市は関連の条例改正案を開会中の市議会に提出している。

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