宝塚市立病院、統合せず建て替えへ 建設費262億円、財源確保課題に
2022/09/08 05:30
宝塚市が建て替えを検討している宝塚市立病院=宝塚市小浜4
老朽化した宝塚市立病院(兵庫県宝塚市小浜4)について、宝塚市は近隣の他病院と統合せず、単独での建て替えを検討していることが分かった。阪神間では公立病院の再編が進むが、従来通り地域医療の中核を担う「市立」として運営を継続する方針。現在地での開院を目指した場合、建設費などは262億3600万円に上ると試算しており、財源の確保が課題となる。(西尾和高)
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宝塚市立病院は1984年に開業。稼働病床は389床で、31の診療科があるが、築38年となって建物や設備が老朽化している。
約5年前から院内の配管が劣化して漏水が頻発。入院・外来患者らにさまざまな影響を及ぼす恐れがあり、国や県などと建て替えに向けた協議を進めている。
県内でも消費増税などのあおりを受けて多くの公立病院が経営難に陥っており、最新設備を持たない病院では医師も集まらず、患者も来ないという悪循環を断ち切ろうと近隣病院と統合再編する動きが加速している。
市などによると、宝塚市立病院も開業40年に向けて統合を検討したが、阪神間では相手先が見つからなかったという。
このため、病床を350床に減らして建て替えた場合の将来動向を試算。すると開院後1~3年目は解体費など特別損失や医療機器にかかる減価償却費がかさむため赤字となるが、4年目以降は経営改善に取り組めば黒字を確保できる見込みになったという。
建て替え費は企業債を活用した場合、負担額は利息を含めて病院が132億円3700万円、市が132億3700万円(うち交付税措置66億1800万円)になると試算している。
病院は「市の財政状況が厳しい中、少しでも財源を確保できるよう黒字経営の維持に努めたい。将来の医療環境の変化を見据え、病院のあり方を考えていく」とする。
近隣では川西市が市立川西病院を公設民営化して市中心部に移し、今月1日に「市立総合医療センター」(405床)として開院。伊丹市では市立伊丹病院が近畿中央病院と統合再編して2025年度に「市立伊丹総合医療センター」(仮称・602床)を開く予定。