尼崎市、全24万戸に携帯トイレ配布へ 災害時の下水道被害に備え 全国の中核市で初

2022/09/24 05:30

上下水道の広報紙と一緒に配布する災害用携帯トイレ=尼崎市役所

 地震や水害など、大規模災害で下水道が使えなくなった場合に備えてもらおうと、兵庫県尼崎市は市内全24万戸に1個ずつ、災害用携帯トイレを配布する。同様の取り組みは全国の中核市で初めて。市は被害が広範囲に及んだ場合、下水道の復旧に3日間かかると想定しており、上下水道を管轄する市公営企業局は「配布を機に実際に使ってみて、家族全員の3日分の備蓄をしてほしい」と呼びかける。(広畑千春) 関連ニュース 災害仮設トイレ、配備に4日以上 処理計画の有無で苦労度合いに差 全国市区町村調査 尼崎は…「ダウンタウンが育った街」1人で訪ねた学生時代 「あなたのブツが、ここに」主演の仁村紗和 舞台はアマ!ドラマロケ地に尼崎人気が急上昇 「絵になる」街並み、人間臭さ 「あなブツ」など話題


 阪神・淡路大震災や東日本大震災ではトイレが使えなくなり、水分摂取や食事を控えたり、排せつを我慢したりして体調を崩す人も少なくなかった。市では災害に備え、耐震性の高い管への取り換えや補強、応急給水拠点の整備を進め、指定避難場所の小中高校に下水道直結のマンホールトイレを設置しており、8月末時点で20カ所、2031年度までに全68カ所に整備する。
 今回の取り組みは、こうしたハード面での取り組みに加え、市民に上下水道のことを知ってもらい、自ら備えるきっかけにしてもらおうと企画した。
 配布するのは汚物袋と凝固剤、処理袋がセットになった一般的な携帯トイレで、トイレが使えない場合に便器に汚物袋をかぶせて使う。年4回発行している広報紙「ウォーターニュースあまがさき」に同封し、総事業費は約2200万円。財源には市民が支払った下水道料金を充てる。
 市によると家庭での備蓄には1人1日あたりのトイレ回数の3日分が必要といい、「100円ショップやホームセンターでも売っており、これを機に備えて」と呼びかけている。

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