<ひと探訪>アレルギーの人に笑顔を 長尾孝浩さん
2022/11/07 05:30
長尾孝浩さん
■「ロースイーツ」のカフェ店長
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アボカドのraw(ロー)チーズケーキ。といってもチーズは入っていない。使うのはカシューナッツやココナツオイルなどで作るカシュークリーム。滑らかな食感と濃厚な味わいが特徴だ。植物性食材を生で食べる食事法・ローフードの一つ「ロースイーツ」。48度以下の低温で調理するため栄養素が失われず、食物アレルギーのある人も口にできる。
高校1年の夏休み、アルバイトで料理に触れた。10年ほど働き、その後に勤めたカフェでは店長に抜てきされた。懸命に切り盛りしたが、忙しさがたたって体調を崩し、店を辞めた。体調管理や健康の大切さを痛感した。
回復した頃、知人の誘いで大阪の薬膳カフェで働き始め、ロースイーツと出合った。1年ほどたったある日、母親と小学生の男児が来店した。帰り際、母親が言った。「この子に初めてスイーツを食べさせてあげることができた」。男児には卵と小麦粉、乳製品のアレルギーがあった。好きなものをおなかいっぱい食べられない人もいるんだと気付いた。
本やネットで勉強し、各地の店に足を運んで味を追求。3年前に独立し兵庫県尼崎市で「カフェホロイムア」を開いた。ある時訪れたアレルギーのある男の子は、運ばれてきた6種盛りに目を輝かせた。並ぶのはパフェやティラミス、タルトなど彩り豊かでかわいいものばかり。「これ食べてもいいの?」。満面の笑みでほおばる姿に「もっと多くの子どもに」との思いが強まり、冷凍スイーツの通販も始めた。
ロースイーツ愛はとどまるところを知らず、日本記念日協会(長野県)に登録を申請。先日、6月12日が「ロー(6)スイーツ(12)の日」に認定された。
店名はハワイの言葉で「前を向いて進もう」を意味する。「幅広い世代の人、アレルギーを持つ人も『当たり前』にスイーツを楽しんでほしい」。43歳。(浮田志保)
【メモ】一昨年、メイドインアマガサキコンペで準グランプリに選ばれた。ローアイス、無農薬野菜を使った日替わり定食も提供。現在は時短営業中で午前11時~午後6時。日、月曜が定休。TEL06・6439・7717