伝統工芸品「明珍火箸」明珍家が当主交代 53代宗敬さん「初心忘れず」

2021/04/01 05:30

父の宗理さん(左)から明珍家当主を受け継ぎ、53代宗敬を襲名した敬三さん=伊和神社

 兵庫県・姫路の伝統工芸品「明珍(みょうちん)火箸」で知られる明珍家が31日、当主交代の神事を宍粟市一宮町須行名(すぎょうめ)の伊和神社で執り行った。約30年間にわたって当主を務めた52代宗理(むねみち)さん(79)に代わり、三男の敬三さん(45)が53代を継承。代々続く「宗」の1文字を取り入れて宗敬(むねたか)を襲名し、変わらぬ姿勢でものづくりに向き合い続ける抱負を語った。 関連ニュース 姫路こまの職人技を間近に 姫路・東延末の人形店で製作実演の場 「姫路こま」の技術伝えたい 東延末の人形店、職人製作実演の場開設 書写の里閉館、取り組みを継承 【11月29日まで】五感で楽しく兵庫の文化体験を 兵庫県立歴史博物館で企画展「ふれる×れきはく」

 明珍家は姫路藩の甲冑(かっちゅう)師の家系。江戸末期に甲冑の需要がなくなったことから火箸になりわいを変え、「明珍火箸」の名を広めた。火箸の需要も落ち込んできたころ、宗理さんは箸の触れ合う音を生かした風鈴を考案。当主となった1992年以降も製作を続け、澄んだ音色で音楽業界の注目も集めるようになった。
 年齢を重ね、数年前から当主交代を考えていたという宗理さん。この道に入って丸60年が経過した今年、当主を敬三さんに引き継ぐことにした。
 一方、20代で弟子入りした敬三さんは、海外の大学での講演や異分野の芸術家との共演など、活躍の場を広げてきた。襲名は「一つの通過点」と語り、「最も大切なのは初心。両親がどろどろになりながら仕事をしている姿や、その時の感動は今後も忘れない」と誓う。
 神事を終え「宗敬」となった敬三さんは「日々の仕事の中でさまざまなアイデアを見つけ、夢につながるものづくりを続けたい」。宗理さんも「人との出会いを財産に、これからもいい物を作ってくれるだろう」と背中を押した。(勝浦美香)

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